同床異夢の統一会派か
立憲民主党と国民民主党は次期衆院選を視野に衆参両院で統一会派を作り、政権交代を目指すとしているが、掛け声は勇ましいものの実際は両党の違いだけが浮き彫りになっている。
8月30日は、ちょうど10年前、衆院選で自民党から民主党へと政権交代を実現した日に当たったが、立憲の枝野代表は記者会見で「大きなご期待を10年前に頂いた。そのご期待に応えられなかったことについての反省と、それを糧として同じ過ちを繰り返さないということで私自身は下野以降7年弱やってきたつもりだ。そうした方向に向けて立憲民主党を立ち上げて、いま野党第1党として仕事をさせていただいているのでこの軸をしっかりと、特に大事な政策の柱のところで内部でごたごたさせないことをしっかりと貫いて、遠からず期待に応えられる政権を作りたい」と述べている。
民主党政権は、未熟な政策に加え、内部でさまざまな混乱や軋轢があり、それらが国民に嫌気されたわけだが、枝野氏はその点について「特に大事な政策の柱のところで内部でごたごたさせないことをしっかりと貫いて」と語っている。そして、どのようにごたごたさせないかと言えば「立憲民主党という軸をしっかりと」という訳だ。
つまり、あくまでも立憲民主党の政治姿勢を貫くことが、〝ごたごたさせない〟ことになるのだろう。
一方、国民の玉木代表は、やはり8月30日に、10年前の政権交代について記者団に問われ「あれだけの期待をいただいて、実現できた政策もあるが、結果として裏切ってしまったことについては真摯な反省とおわびが必要だと思う。もう一度、政権交代可能な緊張感のある政治をつくり出さなければいけないという思いを新たにしている」と述べた。
その上で「これまでは野党に転落して反省と模索の7年間だった。次世代与党に向けた準備の期間に入っていかなければならない。『改革中道』というポジションで結党したし、政権を取るためにはこのポジションしかないと思う。政策を磨き次の政権交代につながっていくための準備を始めていきたい」と語っている。
玉木氏は「改革中道」が政権を取るためのポジションとして強調しているのだが、この基本的な立場は立憲とは異なることは言うまでもない。
そもそもの政治的なポジションの部分で立憲と国民は開きがあり、このため政権奪取へ描く道筋も異なっている。
これでは、何のための統一会派なのかと問いたくなる。
同床異夢とはまさにこのことを言うのだろう。事実、玉木氏は電力総連の定時大会で立憲との統一会派について説明し「それぞれが別の党であることを踏まえ、それぞれの立場に配慮すると決めた。重い合意だ」と強調した一方で、立憲が掲げる原発ゼロ政策とは一定の距離を置く姿勢を示した。
玉木氏はこの点を記者団に問われ「今までは別の党として作った法案だったが、会派をともにしてやっていく内閣提出法案への対応などはできるだけ一致させることが必要だ」と、内閣が提出する法案について一致させると述べただけで、原発ゼロ政策へのスタンスを明言しなかった。
野党の統一会派は選挙だけを目当てにしたもので、残念ながらそこには〝大義〟はないようだ。
(TerracePRESS編集部)