報道機関の務め

朝日新聞が3月21日朝刊で「新型コロナ対策 不安に応える発信を」と題した社説を掲載した。

政府の新型コロナウイルス感染症対策本部が3月20日開かれたことを受けたもので、社説では「きのうの政府対策本部での首相の対応には疑問がある。専門家会議の見解を受け、学校については再開に向けて指示を出したものの、同じく自らの唐突な要請で始まったイベントの自粛に関しては明確な言葉で語らなかった。責任をどう自覚しているのだろうか」と批判している。

 

では、実際の首相の発言はどのようなものだったのだろうか。首相は国民に対して「国民の皆様におかれましては、換気が悪く、多くの人が密集し、近距離での会話や発声が行われるという3つの条件が同時に重なるような場を避ける行動を、引き続きお願いいたします」などと、感染拡大防止へのさらなる協力を呼び掛けた。

 

そのうえで「これまで、政府の要請を受けて臨時休校に取り組んでいただいた学校については、今回の専門家会議の分析・提言を踏まえて、新学期を迎える学校の再開に向けて、具体的な方針を、できる限り早急に文部科学省において取りまとめてください」と指摘。

イベントの自粛については「全国規模の大規模イベント等の開催については、中止、延期、規模縮小等の検討をお願いしてきたところですが、今回、専門家会議から大規模イベント等について、主催者がリスクを判断して慎重な対応が求められるとの見解が示されたことから、今後は、主催者がこれを踏まえた判断を行う場合には、感染対策のあり方の例も参考にしてください。引き続き、感染拡大の防止に十分留意してください」と述べている。

社説が印象付けるような「明確な言葉で語らなかった」という事実はない。

 

たぶん朝日新聞には、イベントについての首相の自粛要請が、反社会的行為と映っているのだろう。だからこそ「責任をどう自覚しているのだろうか」という主張になるのだ。

 

専門家会議では全国規模の大規模イベントなどについて ①多くの人が一堂に会するという集団感染リスクが想定され、この結果、地域の医療提供体制に大きな影響を及ぼしかねないこと ②イベント会場のみならず、その前後などに付随して人の密集が生じること ③全国から人が集まることに伴う各地での拡散リスク、それにより感染者が生じ た場合のクラスター対策の困難性

-という3点を挙げ、「主催者がどうしても、開催する必要があると判断する際には①~③などを十分注意して行っていただきたい」などとしているのだ。さらに「また仮にこうした対策を行えていた場合でも、その時点での流行状況に合わせて、急な中止又は延期をしていただく備えも必要」とも述べている。

 

社説は「主催者側とすれば、地域とはどの範囲か、感染状況を誰に、どう確認すればいいのか、そのイベントに適したリスク低減策として何が考えられるかなど、相談できる先がほしいだろう」などと述べ、いかにも政府の基準や対応が不十分なように主張している。

 

しかし、詳細な判断基準などを示すことが困難なことは当然で、「イベント主催者は、リスクの判断などが分からない場合は事前に、都道府県や厚労省に相談する必要がある」と書くのが筋だろう。それが報道機関の務めだ。

 

(terracePRESS編集部)