必要なのは経済の拡大と長く働ける社会

厚生労働省の公的年金制度の財政検証結果が先ごろ公表された。政府は所得代替率50%以上を確保することを目標としているが、6つのシナリオのうち経済成長と労働参加が進む3つのケースでは、所得代替率50%超を維持できるとの結果で、2014年に行われた前回の検証と比べると、将来の所得代替率はわずかに上昇した形となった。経済の好調による女性や高齢者の就業率が想定よりも上昇したのが所得代替率上昇の一因という。

 

さて、野党はこの検証結果を受けて一斉に批判している。立憲民主党長妻昭・元厚生労働相は「機械的にオプション試算なんてすぐできる。間違いなく選挙対策で遅らせたと認定できる」と指摘。国民民主党の玉木雄一郎代表も「参院選の前に出せるものを3カ月も遅らせた。大事なことは隠そうという政権の体質が表れている」と批判したという。

 

「選挙対策で公表を遅らせた」との野党の批判は、裏を返せば「選挙前に公表すれば野党がもう少し勝てたはずだ…」ということだろう。公表時期の批判など情けない話ではないか。

年金は国民が老後を少しでも安心して暮すための制度のはずだ。それを「選挙の前に公表すべきだった」との批判は、年金制度そのもの、つまり評価軸が〝国民の生活〟ではなく、〝選挙〟だということだ。

 

今回の財政検証から導かれるものは、制度の見直しをするにしても、それと同時に安定した経済の拡大、女性や高齢者が少しでも長く働くことのできる社会を実現する必要があるということだ。

特に経済成長は重要で、今回の検証のシナリオでも、最も厳しいマイナス成長の場合には国民年金の積立金が枯渇し、代替率が4割超も低下することを示しているのだ。

 

そうだとすれば、国民にとって必要なのは、経済を安定的に成長させることができる政府ということになる。少なくとも現在の安倍政権はアベノミクスによってその責務を果たしているのだが、逆に、かつての民主党政権が経済運営を失敗したことは誰もが認める事実だ。

 

世の中には働きたいと考えている高齢者はたくさんいる。最近の非正規雇用者の増大は高齢者や女性の増加によるものだ。2019年度の経済財政白書によれば、65 歳以上の非正規雇用者に非正規雇用の理由について聞くと「『自分の都合のよい時間に働きたいから』との回答が全体の3分の1を占めており、2013年に比べてもその回答の割合が上昇している」という。

 

働きたいと考えている高齢者はたくさんいる。ただ、この調査にあるように、自分の都合のよい時間に働くなど、社会がそのような働き方を容認するかどうかだ。年齢にかかわらず働くことのできる社会を作ることができるかどうかだ。もちろん安倍政権では、高齢者が働きやすい社会の構築に着手している。

 

(terracePRESS編集部)