7年連続増の農林水産物輸出
農水省は先ごろ、2019年の農林水産物(加工品を含む)の輸出額が、前年比0.6%増の9121億円だったと公表した。政府は19年に1兆円の大台を突破する目標を掲げていたが、これまで重要な輸出先だった韓国は日本製品の不買運動、香港がデモによる観光客の減少などで減少し、7年連続の増加とはなったものの、目標にはわずかながら届かなかった形となった。
この事実についてメディアはまたも政権批判に利用している。外的要因で目標達成ができなかったにも関わらず、見出しに「農林水産物輸出、1兆円の目標届かず」など、 目標到達ができなかったことをことさら強調している。
もちろん、韓国や香港の影響で伸びが鈍化したことにも言及しているのだが、「7年連続の増加」「過去最高の輸出額」というには力点が置かれていない。
もちろん、目標に到達できなかったことは残念だが、安倍政権が着実に輸出振興策を展開し、ここまで伸びてきたのだ。7年前の2012年は4,497億円にすぎなかったのが、19年には9,121億円にまで増大したのだ。
19年の国別・地域別輸出先を見ると、1位は香港で2,037億円、前年比3.7%減となり、韓国は21.0%減の501億円で5位となっている。
貿易だから、相手国の事情に左右されることは避けられない。今回はそうした要因があったことは事実だ。また2020年も新型肺炎の影響が少なからず出るだろう。だから、目標は目標として掲げることは重要だし、それを達成することも大事だ。しかし、最も重要なことは、政策通りの方向に進んでいるか否かということだろう。
香港や韓国のようにそれぞれの国や地域の事情はあっても、日米貿易協定やTPP11、日EUのEPA(経済連携協定)など農林水産物の輸出を拡大する基盤はすでにできている。
すでに政府は一体となって戦略的に農林水産物の輸出を推進する体制を構築し、輸出力の強化による協定締約国の市場の獲得や開拓を推進するための措置を講じることを決めている。
これまでも政府の取り組みがあったからこそ、7年間で倍増以上の輸出を果たしたのだし、これからも推進体制を作ることで、一層の伸びが期待できることは間違いない。
目標を達成できなかったことを強調すればメディアの責任を果たしていると考えるのは稚拙すぎるだろう。
(terracePRESS編集部)