国家観も時代認識も乏しい枝野氏
立憲民主党がホームページで「2020年、政権の選択肢になるために——枝野幸男インタビュー」なるものを掲載している。このタイトルの通り、枝野代表のインタビューなのだが、驚くべきことに、政権の選択肢となる具体的な方針は何も語られておらず、相変わらずの政権批判だけに終始している。どうやら枝野氏には、国家観も時代認識も乏しいようだ。
枝野氏は相も変らぬ「桜を見る会」批判をした後、2020年度政府予算案について言及している。枝野氏いわく「『本当に必要なの?』と思うような、最新鋭の戦闘機などに多額の予算を投入しているのも問題。防衛費にしても、自衛隊員の待遇改善など、災害時にもっと自衛隊が苦労を小さく大きな効果を上げていただけるような予算の付け方のほうがよっぽど求められている」というが、枝野氏は北東アジア情勢が緊張を高めていることへの認識を持っていないようだ。
そもそも、日本が購入したF35戦闘機は、F4EJファントム戦闘機の後継だ。世界的には「まだF4ファントムを使っているのか」と驚かれるほど、日本は改修を続けながら長期に使っていたのだ。
その一方で、中国の軍事力は増大し、尖閣諸島ではたびたび緊張が高まっている。また、北朝鮮の核開発やミサイル開発も継続しているの見方もある。そのような状況のなかで、最新鋭のF35戦闘機を購入するのは当然だろう。どうやら枝野氏の思考は、流動的なアジア情勢などに追いついていないのではないか。
また注目したいのは旧民主党政権についての発言で「前回はほとんどのメンバーが初めて政権にチャレンジしたので、良くも悪くも高揚感があった。有権者の期待も大きかったと思う。その期待に応えられなかったことは率直に反省している。一方で、情報公開や政治のオープン化、教育や福祉に力を入れたことなど、あの時代に前に進んだこともあり、そうした功罪をしっかりと受け止めて次の政権に備えたい」「今の共同会派には、実際その3年3カ月、政権を担わせていただいたメンバーがいる。ある意味で、その経験を活かすのが、あの時ご期待いただいた皆さんに対する責任だと受け止めている」などと述べている。
あの時代の民主党政権の大失敗を、初めてだったから失敗したのではなく、政策がことごとく非現実的だったという事実に目を向けないまま「功罪を受け止めて」程度の認識であれば、迷惑をこうむった国民は立つ瀬がない。
またインタビューでは政権交代のテーマについて「『支え合う安心』『豊かさの分かち合い』、そして『責任ある充実した政府』。」「アベノミクスの限界は明確だと思う」などと強調しているが、具体的な政策はなんら提示していない。
民主党政権は「コンクリートから人へ」とのスローガンを掲げ誕生した。しかし、実際は実現不可能なことのオンパレードだった。またしても政策そっちのけで聞こえのいい言葉を並べようというのだろう。
(terracePRESS編集部)