「オール沖縄」の主張通じなかった名護市長選
先ごろ行われた沖縄県名護市長選で、自民、公明両党が推薦した現職の渡具知武豊氏が、名護市辺野古で工事が進む米軍普天間飛行場の代替施設建設に反対する前市議を大差で破り再選を果たした。辺野古の代替施設建設は、名護市民に負担をかけることは間違いないだろうが、普天間飛行場の危険性を除去し、その一方で名護市の活性化や地域作りを進めたいという市民の意思の表れだ。
敗れた前市議は、玉城知事ら「オール沖縄」勢力が支援し、立憲、共産、れいわ新選組、社民、地域政党・沖縄社会大衆が推薦した岸本洋平氏。岸本氏は選挙戦で「辺野古新基地の建設を阻止する」などと辺野古の代替施設建設中止を終始求めていた。
普天間飛行場は①空中給油機の運用機能②緊急時に航空機を受け入れる基地機能③オスプレイなどの運用機能-があったが、すでに①の空中給油機の運用機能は山口県の岩国飛行場に移駐しているし、②の緊急時の航空機の受け入れ基地機能は、福岡県の自衛隊築城基地、宮崎県の自衛隊新田原基地に移転することになっている。
普天間飛行場の機能のうち、オスプレイの運用機能だけが辺野古の代替施設に移転される計画のため、代替施設の埋め立て面積は、普天間飛行場の面積の約3分の1、滑走路の長さも約3分の2に過ぎない。
普天間基地に残る③のオスプレイ運用機能さえ移転できれば、基地の返還はできるのだ。だからこそ、一刻も早い完成が求められている。
岸本氏は選挙戦で、辺野古代替施設埋め立て予定海域に軟弱地盤が存在することも強調していた。確かにキャンプ・シュワブ北側の海域には軟弱地盤が存在するが、地盤改良工事をすれば埋め立てなどの工事を安定的にできることが確認されている。
地盤改良ではケーシングを打ち込んで地盤を強固にするが、辺野古では約7万1千本必要とされている。関西国際空港の第Ⅰ期事業で約100万本、第Ⅱ期事業で約120万本、東京国際空港再拡張事業では約25万本打ち込まれており、それらに比べれば辺野古の地盤改良は困難なものではない。
選挙で岸本氏は、辺野古の代替施設建設の是非が最大の争点と訴えていた。もちろん、代替施設は日本と米国との政府間合意に基づき、普天間飛行場の危険性除去のために建設が進められている。だから、名護市民の民意が即座に影響するものではないが、それにしても選挙で建設に反対する候補者が敗れたことは、多くの市民が代替施設建設を容認し、新しい地域作りの推進に期待していることを示している。
地元紙「沖縄タイムス」は25日付け紙面で名護市長選をテーマに社説を掲載しているが、驚くべきことに「選挙結果をもって『有権者は新基地建設を承認した』と言うことはできない。辺野古の是非が明確な争点になったわけではなく、すれ違いに終わったのだから」と書いている。
さんざん「市長選の争点は辺野古」と書いておきながら、反対する候補が敗北したとたん「争点ではなかった」と言いつくろうのだ。共産党や立憲などを中心とした「オール沖縄」などの主張が通らないことはますます明白になっているが、それに加えて現実を見ることができない偏向地元メディアは、存在そのものが害悪となっている。
(terracePRESS編集部)