「勝負の3週間」とは何だったのか?
観光業などへの支援策となる「Go Toトラベル」が28日から来年1月11日の間、全国で一時停止される。新型コロナ禍では、感染拡大防止と経済活動の両者のバランスをとりながら対策を進めることが不可欠だが、感染拡大を防ぐために経済活動を少し縮小するという菅政権の適切な判断と言えるだろう。それが「勝負の3週間」の意味でもあった。
今回の「Go Toトラベル」の一時停止をめぐっては、新聞などのメディアは菅政権の姿勢を批判している。
毎日新聞は「Go Toの一時停止 後手に回った責任は重い」と題した社説で「『勝負の3週間』と銘打った感染防止策は効果が見られず、全国の新規感染者数が過去最多を更新し続けている。追い込まれた末の、あまりにも遅い対応だ」と批判。
朝日新聞も「Go To停止 政策を転換する時だ」と題した社説で「政府が『勝負の3週間』と位置づけた期間が終わろうとしているが、街を行き交う人の流れに大きな変化は見られず、感染拡大に歯止めはかかっていない。政府が補助金で旅行を奨励しながら危機を訴えても、国民に響かないのは当然だ」などと指摘している。
こうしたメディアの批判の前提になっているのが「勝負の3週間」という言葉だ。これは西村経済再生担当相が11月25日に開催された有識者らによる新型コロナウイルス対策分科会後に記者会見し、「この3週間が勝負だと。いまの感染拡大を抑えられるかどうか。その大事な、大事な3週間だということだ」と述べたことから出ている。
この「3週間」という意味について、西村氏は「2週間で対策をやれば、効果が3週間目から現れてくるということで見極められる。これを早期にやらないと年末年始にかかってきて、年末年始というのは医療が非常に弱くなる時期でもあるという危機感もきょう(の会議で)表明された」と説明している。
要するに、医療体制が手薄になりがちな年末年始に重症者が増える事態を避けるため、この3週間で集中的に対策を強化するというのが「勝負の3週間」の意味だ。「Go To トラベル」は全国各地が関わっていて、それらの地域はそれぞれ感染状況が異なることもあり、「Go To」の運用や飲食店への営業時間の短縮要請などを調整する上で時間が必要になる。
ところがメディアでは「勝負の3週間」を、すなわち「感染者が実際に減少する期間」と一方的に解釈し「3週間でも感染者が減らない」などと批判している。それも「Go Toトラベル」が感染拡大の大きな要因になったかどうかも不明な中での批判だ。
現実には、3週間以内に「Go Toトラベル」の一時停止の判断をしたわけだが、確かに「もう1週間早く決断すべきだった」との意見もあるだろう。
それにしても、メディアは批判ばかりではなく、もう少し冷静に議論し、国民に対して感染拡大防止の基本的な対策に協力するよう情報を発信すべきではないか。
(terracePRESS編集部)