野党とは違う人材の厚さ示す自民党
安倍首相の辞任表明で、自民党は次期総裁選びをスタートさせた。病気による辞任という形で、突然の後継選びとなった。そんな事前準備のない後継選びであっても、選出方法は党則で決まっており、後継と目される人材も続々と伝えられている。野党は、立憲民主、国民民主の合流を巡ってすったもんだしたのはつい最近だが、今回の後継選びはやはり自民党の人材の厚さを示したものとなっている。
自民党は総裁公選規程で、総裁選は国会議員票と全国一斉の党員票で決めることが決まっている。現在は議員票394票、党員・党友票も議員票と同じ394票に換算し、それによって決することになる。
しかし、「特に緊急を要するとき」は例外規定も設けられている。今回は安倍首相が病気のためやむなく突然の辞任表明に至ったうえ、新型コロナ感染症の対策で政権の空白期間を可能な限り短くする必要があるため、この例外規定を適用する。
具体的には、同党の国会議員と47都道府県連の代表各3人の計535人が両院議員総会で投票し、過半数を得た候補を新総裁に決定する。
今回の自民党のように、政党が代表を選出する規定を整備することは当然だ。特に自民党の場合は、総裁がそのまま首相になるだけに、政治空白を作らないための規定をあらかじめ設けることも政党の責務だ。
しかし、どの政党もこうした規定を設けているかと言えばそうではなくて、立憲民主党は2017年の結党以来、代表の任期はあったものの、選出方法は決めていないという異常な状況を続けていた。政党が代表の選出規定を設けていないこと自体、党内民主主義のあり方が問われることになる。このため、同党は2020年6月17日の両院議員総会でやっと決めた始末だ。
代表になり得る人材もそうだ。来るべき自民党の総裁選では、憶測も含めて岸田政調会長、石破元幹事長、菅官房長官のほか、河野防衛相らも立候補するのではと取りざたされている。いずれも自民党総裁はもちろん、首相となっても職責を果たせる十分な能力を持った人材だ。こうした人材の厚さこそ、長年政権を担ってきた自民党の強みだ。
政党支持率をみても、NHKの最新調査では自民党が35.5%なのに対し、立憲民主党はわずか4.2%、国民民主党は0.7%だ。読売新聞は自民党33%、立憲民主党5%だ。
国民は、自民党の人材の豊富さや政策の実効性などを評価している。
安倍政権は、国民から見放された民主党政権の後始末を含め、さまざまな政策の実行で安定的な政権を維持してきた。安倍政権の終えんで「安定時代の終わり」などと評するメディアもあるが、政党として国民から支持されている自民党が再び安定した政権を作ることは決して非現実的なことではない。
(terracePRESS編集部)