「シングルペアレンツ」「学術会議」菅政権の事業検証
「国の事業」と言えば、透明性や効率性が求められるもの。しかし、国民にとっては、その事業の中身がどのように行われているか皆目分からず、税金の無駄な支出が行われているのではないかと思いがちになる。そうした事業の点検をするため政府は毎年、「行政事業レビュー」を行っている。菅政権でも先ごろ初のレビューが行われ、日本学術会議など12のテーマについて検証が行われた。
先ごろ開催された政府の行政改革推進会議では、2020年秋の年次公開検証などの取りまとめについて議論した後、議長を務める菅首相が「それぞれの役所のみに事業の実施を任せると、どうしても、縦割りや前例踏襲主義に陥りがちであり、外部の目による検証、提言は重要と考えている。今後とも、幅広い意見を伺いながら、国民目線でしっかりと改革を進めていきたいと思う」と述べた。
今回のレビューで注目されたテーマの一つが日本学術会議。行政改革推進会議は、日本学術会議が支出している国際学術団体への分担金について「透明性や公正性、中立性をさらに高める方策を検討するべき」だとし、外部の有識者による検証を検討することを求めた。
河野行革担当相も、学術会議への指摘について「(学術会議が)どういう理由で(加入する国際学術団体を)選定したかなどオープンに議論する必要がある。その意義も、もう少し世の中に発信されていい」と指摘している。
また、今回の秋のレビューでは「子供の貧困・シングルペアレンツ問題」も検証された。取りまとめでは「子供の貧困・シングルペアレンツに関する問題は、困難な状態となるきっかけやプロセス、また子供の未来に関わることとして捉えれば、全ての人に関わる政策課題として位置付けるべき」と指摘。
その上で支援を必要とする人の立場に立ち、「支援策の『ワンストップ化』を実現することで素早く有効な支援を届ける必要がある」としている。
一方、社会には自分が支援対象であることに無自覚な人や潜在的に支援を必要とする人、その予備軍もおり「積極的にアプローチするため『プッシュ型』の支援を可能とする必要がある」と述べている。
さらに、「国は『ワンストップ化』や『プッシュ型』の支援を実現するために、デジタル・データの特性を活かしたデータ・ベースに関わる共通インフラを主導して構築することを検討すべきである」と指摘している。
秋のレビューでは、このほか、「農林漁業の担い手づくり支援」や「幼稚園の預かり保育の促進」「地方のインフラの総合的整備」など多岐にわたるテーマが取り上げられた。
「国民のために働く内閣」を標榜する菅政権は、脱炭素社会の構築はもちろん、行政改革、規制緩和を進めることで社会の改革を進めている。中でも前例踏襲主義や縦割りからの脱却を推し進めており、行政事業レビューと合わせ、それが一つ一つの事業の実効性の向上につながっていく。
(terracePRESS編集部)