静岡4区補選で国民の安全・安心無視の野党共闘
4月14日告示、26日投開票の衆院静岡4区補選で、立憲民主、国民民主、社民党、共産党などの野党が、元都議の田中健氏を野党統一候補とすることを決めた。
合意に際しては、各党と「安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合」が確認書を結び、共産党は、擁立を予定していた前衆院議員の立候補を取りさげた。
市民連合が媒介となって野党と確認書を結ぶ手法はこれまで同様だが、この確認書たるものは、政治を俯瞰するという視点がないばかりか、国民の安全・安心さえないがしろにするものだ。
確認書には14の項目が盛り込まれている。例えば、1番目の項目には「新型コロナウイルス感染症の拡大防止、PCR検査の拡充、医療提供体制の整備に万全を尽くすとともに、家計や中小企業の支援に重点を置いた大型の経済対策を速やかに講じること」としている。
政府は現在、大型の経済対策をすでに策定中だから「確認書に盛り込んでも無意味だ」とは言わない。しかし、新型コロナによる経済への悪影響は、金融面、供給面、需要面などそれぞれ出ている。家計や中小企業対策はもちろん大事だが、それで「事足れり」と思っているのなら、単なる選挙の票目当てというしかないだろう。あまりにも稚拙だ。いかにも野党であり、市民連合で、経済への認識を著しく欠いているのだ。
また、4項目目には「膨張する防衛予算、防衛装備について憲法9条の理念に照らして精査し、国民生活の安全という観点から他の政策の財源に振り向けること」としている。これも一昔前よりも緊張が高まっている東アジア情勢に無頓着の結果というほかはない。戦争に巻き込まれないために、どのような抑止力を保持するかという視点が欠如しており、国民の生命・財産を守るという考えはないのだろう。
各項目をみれば、押しなべて稚拙な考えばかりなのだが、重要なことは、この確認書では、日本の経済成長をどのように図っていくのかという視点も、災害対策の方向性もないのだ。確かに、11項目目に、最低賃金の底上げや社会保障政策の確立、公営住宅の拡充など国民への人気取り政策は並んでいるのだが、経済政策の青写真すら描けないのなら国の舵取りはできない。
災害対策に至っては、静岡補選での野党共闘の確認書であるはずなのに、「災害」の文字すらないのだ。
確認書には出馬する田中健氏も署名しているが、災害対策すらない確認書にサインする田中氏に静岡を代表する衆院議員になる資格があるのだろうか。
(terracePRESS編集部)