中国機が目立つスクランブル
防衛省は先ごろ、日本の領空を侵犯する恐れのある外国機に対する航空自衛隊の対領空侵犯措置(スクランブル)が2019年度は947回だったと公表した。1日当たり2.5回の計算だ。
新型コロナウイルス感染症の拡大により日本中が混乱している現在でも、航空自衛隊はスクランブルで日本の主権が侵犯されることがないよう活動している。
2019年度のスクランブルは、前年より52回減少しているものの、1958年に開始して以来、過去3番目の多さとなった。相手機の国籍が特定できないケースもあるが、推定も含めれば、スクランブルの対象国・地域別の割合は、中国機が約71%、ロシア機が約28%、その他約1%未満となっているという。
全体数は前年より減ったわけだが71%を占める中国機に対するスクランブル回数は675回で、こちらは前年度より37回増加している。中国機による脅威は増しているといえるだろう。
このため、方面隊別にスクランブルの回数を見れば、沖縄県の那覇基地に司令部を置く南西航空方面隊が581回となっている。
特に同年度は、中国機のH-6爆撃機などによる沖縄本島・宮古島間の通過飛行や新たなY-9早期警戒機を初めて目視確認したケースなどがあったという。
河野防衛相は記者会見で、2019年度のスクランブルについて「日中関係を改善しようとする試みが首脳レベルで行われてきたにもかかわらず、こういう状況になっているというのは日中両国の国民にしっかり認識をしていただく必要があろうかと思う」と述べ、中国機へのスクランブルが増えていることに懸念を示している。
国民の生命財産を守る防衛活動というのは、実際に主権が侵されないようにする平時からの活動だ。スクランブルも、毎日他国の航空機が領空を侵犯するなど日本の主権を侵すことを防ぐ重要な活動だ。
日本は現在、新型コロナウイルス感染症は首相の緊急事態宣言に至るまでの事態になっているが、国民の生命財産を守るのは新型コロナ対策だけでなく、防衛活動も同じだ。さらに、日本の将来を明るいものにするためには、防衛だけでなく新産業や科学技術の創出、教育も必要だし、社会保障の充実も不可欠だ。
そうした政策のバランスを取りながら実行していくのが政府の役割だ。
(terracePRESS編集部)