感染防止と経済の両立が〝ウィズコロナ〟
新型コロナウイルス感染症の流行に伴って、社会のありようを表現するさまざまな言葉が生まれている。「3密」と言うのもその一つだが、これは生活の仕方を示すものだ。新型コロナ禍の社会のあり様を示す言葉であれば「ウィズコロナ」「アフターコロナ」「ポストコロナ」の3つだろうか。しかし、この3つの言葉は微妙に意味合いが違う。
「アフターコロナ」「ポストコロナ」は、ワクチンや特効薬の開発などにより新型コロナウイルスを人類が封じ込めることに成功した後の社会との意味合いが強い。
これに対して、「ウィズコロナ」は、まだ封じ込めには成功していないながらも、社会的に感染拡大の防止を進める一方で、経済活動も拡大していくという意味を持っている。
新型コロナ感染症が拡大した先進国をはじめ、多くの国々が現在、この「ウィズコロナ」の時代にあるわけだ。
ところが、この「ウィズコロナ」は政府レベルから、企業、個人レベルまで大変難しいかじ取りが必要になる。収束の兆しがあったために、人々が社会活動を再開させると途端に感染者が増加する。このため、政府はその状況に応じて対応をしなければならないが、それに対して「朝令暮改」などと的外れな批判が続出する。
繰り返しになるが「ウィズコロナ」は新型コロナウイルスが存在しながらも社会活動を拡大するということだ。連休前の7月23日の記者会見で西村経済再生担当相が「宴会をやったりする社員旅行、若い人のドンチャン騒ぎ、高齢者の団体旅行は控えた方がいい」「普段一緒にいる家族が旅行先で家族で過ごし、観光地を訪れても、感染防止策をしっかり講じていれば互いに感染したり、感染させたりするリスクは極めて低い」などと述べている。
または26日の記者会見では、企業のテレワークの取り組みが一時より減ったことに懸念を示し「テレワークを後戻りすることなく、時差出勤も(合わせ)多様な働き方を推進して欲しい」と述べ、テレワークを7割にするよう求めている。
ウィズコロナの社会で生活をするということは、そうしたメリハリをつけた社会活動をするということに他ならない。
付言すれば、テレワークの拡大は「アフターコロナ」「ポストコロナ」の視点でも、働き方や生活の仕方の多様化として必要だし、それが新型コロナで脆弱性をみせた東京一極集中の是正にも寄与することになる。
感染防止も経済活動の活性化も両立させることが「ウィズコロナ」であり、そのためには両者の間を行き来しながら社会を維持することが必要になる。
(terracePRESS編集部)