国会の本分忘れる野党の質問
臨時国会でも相変わらず、野党は閣僚の〝疑惑追及〟に精を出している。国会の本分を忘れたような質問を連発している。その最たるものが片山さつき地方創生担当相をめぐる国税庁への口利き疑惑。これは週刊文春が報じたものだが、もちろん単なる「疑惑
」でしかない。その週刊誌が書いたネタをさも事実かのように扱い、国会で延々と質問するのが、野党といえども、果たしてそれが国会議員の本質的な仕事と言えるのだろうか。
片山氏の問題を巡っては、共同通信社が先ごろまとめた全国電話世論調査によると、国税庁への口利き疑惑を報じられた片山さつき地方創生担当相の対応に関しては「記者会見などで詳しく説明するべきだ」との答えが74.7%に上ったという。
一般の人間が、「片山氏は記者会見で詳しく説明すべきか否か」と問われれば、それは「記者会見すべき」と答えるのが普通だ。こうした調査の結果は、調査する前から分かっているようなものだ。それをあえて聞き、記事にするところに、現在のメディアの異様さがあるのだ。
こんなマッチポンプ的な調査と報道、そしてそれをもとに「国民が納得するような説明をしろ」と詰め寄る野党議員の質問で、また世論が形成されてしまうのだ。
片山氏は、国会で「週刊文春を提訴したからお答えできない」などと説明している。これから裁判が始まるのに、情報を事前に開示すれば、それだけで相手を有利にしてしまうことは間違いなく、訴訟を理由に説明できないのは当然だ。
それは国会議員でも、一般の人間も同じで、裁判にゆだねるということになれば、自分に不利なことはすべきではないし、第三者もそれを強要すべきではないだろう。
あまりそれが過度になれば、裁判を行う権利さえ侵害してしまうことになる。
もちろん、片山氏もその点、裁判を控えているとなぜ情報を開示できないのかという点について国民の理解を得るために、もう少し丁寧に説明する必要があったのかもしれない。
いずれにしても、片山氏の件は現段階で単なる〝疑惑〟でしかなく、例えば、あっせん利得処罰法違反容疑という事件になったわけではない。
メディアも世論調査で、片山氏の説明責任について設問を設けるならば、例えば「野党はもっと政策論争をする必要があると考えるか」というような設問を設けてみればいい。これも調査前から結果が分かっているようなもので、多数の人が「そう考える」と回答するはずだ。
現在のように、野党がもし、閣僚に失点させ、政権に打撃を与えることだけに懸命になるのであれば、野党が存在する意義すら失われるだろう。