スタートする小中校での1人にPC1台の教育
日本が国際社会の中で立ち遅れているのがICT(情報通信技術)。新型コロナで行政の立ち遅れが顕在化したことは記憶に新しいが、行政だけでなく教育でのICT環境の整備も課題となっている。また、最近は国内企業も、ICTを経営に生かすデジタルトランスフォーメーション(DX)導入の遅れが指摘されている。そうした中、義務教育で4月から児童生徒の「1人1台端末」などが実現する。
日本は、義務教育の授業でのデジタル機器の使用時間はOECD加盟国で最下位。また、学校外でのICT利用は、ゲームで遊ぶなど学習外についてはOECD平均以上となっているが、学習面ではOECD平均以下となっている。
こうした教育でのICT利用を改善するために、文部科学省が進めているのが「GIGAスクール構想」だ。
「GIGAスクール構想」は、「1人1台端末と、高速大容量の通信ネットワークを一体的に整備することで、特別な支援を必要とする子供を含め、多様な子供たちを誰一人取り残すことなく、公正に個別最適化され、資質・能力が一層確実に育成できる教育ICT環境を実現する」ことを目指している。
1人1台端末が実現すれば、例えば、教師は授業中でも1人1人の反応を把握でき、それにより個々人の反応を踏まえた双方向型の一斉授業が可能になる。また、児童生徒の1人1人の考えをお互いにリアルタイムで共有することで、双方向の意見交換も可能となる。
その「GIGAスクール構想」に基づいて、いよいよ4月から、全国のほとんどの義務教育段階の学校で、児童生徒の「1人1台端末」と「高速大容量の通信環境」の下での新しい教育が本格的にスタートする。
もちろん、ハードがそろっても実際に教育に活用されなければ意味がないため、文科省は先ごろ、各都道府県教育委員会教育長らに「GIGAスクール構想の下で整備された1人1台端末の積極的な利活用等について」と題した通知も発出し、利活用を進めるよう要請している。
児童生徒の学びの保障の観点からも、端末を持ち帰り、自宅などでの学習ができるよう家庭での端末の利用に関するルール作りを促進することや、丁寧な説明をすることで、保護者や地域の十分な理解を得られるよう努めることなど、様々な観点から順調にスタートさせるよう各都道府県教育委員会などが積極的に取り組むことを求めている。
2021年は「GIGAスクール構想」の実現だけでなく、9月にはデジタル庁もスタートするなど、日本は菅政権による〝デジタル元年〟となる。それは日本の社会が変革するという意味でもある。日本が今後とも成長し、教育が充実し、働きやすく住みやすい国を作るための取り組みが始まる。
(terracePRESS編集部)