対策を強化する日本、緩和する英国の実態は?
新型コロナウイルス感染症対策として東京都に4度目の緊急事態宣言が発出され、沖縄県とともに8月22日まで対策が行われる。また、まん延防止等重点措置が埼玉、千葉、神奈川、大阪の1府3県について同22日まで延長される。ロックダウンを行い、ワクチン接種でも先行した英国では1日当たりの感染者が3万人近くになるなど、感染対策の難しさが明らかになっている。対策の〝正解〟が不透明な中では、機動的に対応するしかないのが実態だ。
菅首相は8日の会見で「感染状況には従来とは異なる、明らかな変化が見られている。東京では、重症化リスクが高いとされる高齢者のワクチン接種が70パーセントに達する中、一時は20パーセントを超えていた感染者に占める高齢者の割合は、5パーセント程度までに低下している。それに伴い、重症者用の病床利用率も30パーセント台で推移するなど、新規感染者数が増加する中にあっても、重症者の数や病床の利用率は低い水準にとどまっている」と述べている。
重症者や重症者の病床利用率は減っている中での緊急事態宣言は、明らかにこれまでとは異なる宣言となる。
では、なぜ宣言発出に至ったのか。菅首相はその点につて「東京の感染拡大は全国に広がり得るもの。夏休みやお盆の中で、多くの人が地方へ移動することが予想される。ワクチン接種が大きく進み、新型コロナとの闘いにも区切りが見えてきた中で、ここで再度、東京を起点とする感染拡大を起こすことは絶対に避けなければならない。そうした思いで、先手先手で予防的措置を講ずることとし、東京都に緊急事態宣言を今一度、発出する判断をした」と説明している。
野党の主張やメディアの報道をみれば、いかにも政府が後手後手での対応をしているように感じるが、そんな批判はあまりにも一面的というか批判のための批判でしかないように感じる。
英国ではロックダウン(都市封鎖)や室内の人数制限やマスク着用義務など厳しい規制を1年半近く続けてきたが、19日にほぼ全面的に解除される見通しとなった。成人の9割近くが少なくとも1回の接種を済ませたが、それでも9日時点の新規感染者は3万5700人以上となった。
つまり、英国の例をみれば、新型コロナは日本とは比較にならない強力な規制をしたり、ワクチン接種を進めたりしても、単純に収束させられるものではない。
もちろん英国でも一時は1000人を超えた1日当たりの死者数は、最近は20人台まで減少しており、ワクチン効果が出ている。
その死者数でさえ、日本は最近では5月18日の216人がピークだったが、7月10日には11人と少なくなっている。
英国は日本より感染状況が悪いのに規制を緩和し、日本は英国より状況は良いのに対策を強化する。いずれも結果を予測することは難しい。つまり、感染対策には正解はないのだ。野党やメディアは「後手」と政府を批判すれば、それでいいと思っているのだろう。
(terracePRESS編集部)