誰も言わない「人流抑制策」
新型コロナウイルス感染症は、デルタ株の感染拡大で新規陽性者が急激に増えている。東京、大阪、埼玉など6都府県に緊急事態宣言が発令されている中でも、人流の増加が懸念されている。メディアや野党などは「人流」の増加と政府の失策を結びつけようと躍起だが、では具体的な人流抑制策をどうするかというと、誰の口からも出てこない。
政府は2日、新型コロナウイルス感染者の療養方針見直しを決めている。デルタ株の拡大などで感染者が急増している地域では自宅療養を基本とし、入院は重症者や重症化のおそれが強い人などに限り、病床の逼迫を防ぐという。
少し前の数字になるが、国内の療養状況を整理しよう。7月28日午前零時現在で、療養者(患者)は45,539人で、そのうち10,681人が入院者数で、そのうち重症者数は1,271人となっている。
入院率という指標でみると、首都圏は神奈川県が15%、東京都が18%、埼玉県が19%など、療養者の2割しか入院できていない。
もちろん、無症状の陽性者も数多くいるので、そもそも全員が入院する必要はない。だが、軽症であっても入院したいというのが、患者の率直な気持ちだろう。
実は、この28日午前零時現在で区切ってみれば和歌山県と徳島県が入院率100%を達成している。といっても、入院率が100%を実現できるのは療養者が少ないためで、和歌山県は83人、徳島県は54人となっており、だからこそ全員が入院できるわけだ。
これに対し東京都などは16,344人の療養者数となっており、これに対して確保病床数で6,406床しかないから、全員が入院することなどもともと不可能だ。
少しでも入院率を上げるためには、感染者数を減らすか、病床数を増やすしか道はない。
そして感染者数を減らすために重要なのは「人流」の抑制と言うことになる。「人流」「人流」と毎日のようにテレビなどで報じられているが、批判はすれど「人流」抑制のための具体策はテレビのコメンテーターも言わないし、立憲民主党の蓮舫氏などは、オリンピックが「人流」を増やしていると言わんばかりの誤った情報すら流している。
時短要請に応じない飲食店への対応は行政的にすればいいのだろうが、それでも路上飲みを行う人々は現にいるし、繁華街に足を運ぶ人々も多い。航空各社によると、お盆休み期間(6~15日)の国内線の予約は前年比1.4倍の165万3,000人となっているというし、JRの在来線、新幹線の予約も増えている。
こうした個々人の行動をどう抑制するかということが非常に重要になるはずだが、そうした建設的な意見はほとんど出てこない。
個人の行動を直接抑制することは現在の日本社会では困難だから、少なくとも商業施設、娯楽施設の休業、企業へのテレワークの徹底の要請、ネオンサインの消灯の徹底など改めて強化すべきだろう。
(terracePRESS編集部)