〝知らしむべからず〟が作る内閣支持率
興味深い二つの情報が相次いで報道された。一つは毎日新聞と社会調査研究センターの全国世論調査だ。菅内閣の支持率が過去最低となったというもの。もう一つは、河野行政改革担当相がテレビ番組で発言した菅首相の評価だ。河野氏は首相のリーダーシップがほとんど報道もされず、世の中に知られていないことを指摘した。河野氏の指摘のような知らしむべからずのメディアになっていることは、首相にとっては当然なのだろうが、日本にとっても不幸なことだ。
毎日新聞と社会調査研究センターの全国世論調査によると、菅内閣の支持率は26%で、7月の前回調査の30%から4ポイント下落。政権発足以降で初めて30%を切り、最低を更新した。菅政権の新型コロナウイルス対策を「評価する」と答えた人は14%にとどまり、「評価しない」は前回より7ポイント増の70%となった。
また、政府が発令している緊急事態宣言についても、「効果があると思う」が16%にとどまり、「効果があるとは思わない」の64%を大きく下回っている。
緊急事態宣言の発令に関しては、野党や地方自治体もっと早い対応を求めたりしているが、世論だけが「効果がない」と判断しているという奇妙な結果となった。
ちなみに政党支持率は、自民党26%(前回28%)、立憲民主党10%(同10%)、日本維新の会8%(同6%)、共産党5%(同7%)、公明党3%(同4%)などとなる一方、「支持政党はない」が42%(同39%)となり、菅政権も支持しない一方で、野党についても支持しないという構図になっている。
こうした中で、〝世論〟に疑問を投げかけた形になったのが河野行政改革担当相だ。河野氏は29日のテレビ番組で、内閣支持率の低下について「かなり総理のリーダーシップで進んでいるところがなかなか評価されていないというのは正直じくじたるものがある」と指摘した。
ワクチン接種についても「1日100万回という号令をかけた。あるいは7月末までに高齢者接種を終わらせることをかなり総理がリスクを取って号令をかけた」ことを強調。また、低所得の子育て世帯への給付金を申請なしでも「プッシュ型」で給付したことも「総理がデジタル化しようという号令をかけたからこそできた」と説明した。
河野氏は「ほとんど報道もされず、これはもう明らかに菅総理のイニシアチブ(主導)であったにもかかわらず、残念ながら世の中に知られずに評価につながってないのは非常に残念だ」とも述べている。
河野氏の指摘のように新型コロナに限らず、デジタル化やグリーンなど今後の日本の成長エンジンを生み出したのが菅首相あると言えるが、近視眼的なメディアはほとんど報じないのが実情だ。そうしたメディアが生み出した〝世論〟は、緊急事態宣言の効果すら認めないという〝暴走〟をも引き起こしている。
河野氏は「菅総理だからできたデジタル化、あるいはカーボンニュートラル、あるいはワクチンの接種の加速といったことを我々ももう少し発信を強化していかなければいけない」とも語ったが、確かに情報発信がうまくいっていないことは事実だ。そしてそこは一向に改善されていないという現実もあるが、まずはメディアが事実は事実として報じることが不可欠だ。
(terracePRESS編集部)