ネットにとって代わられる日本のメディア
インターネットは私たちの生活になくてはならないものとなっている。新型コロナウイルス感染症についても、情報提供するのは従来のマスメディアだけでなく、インターネット情報を多くの人が利用している。総務省調査では、インターネット利用はすでにテレビさえ追い抜いている。これは裏を返せば、従来のメディアが人々に評価されていないことを示しているのだろう。
総務省情報通信政策研究所が先ごろ公表した「令和2年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」によると、主なメディアの平日の平均利用時間(全年代)は、「ネット利用時間」が168.4分となりトップ。2位は「テレビ(リアルタイム)視聴時間」の163.2分だった。調査を始めた2012年度以降で、インターネットがテレビを上回ったのは初めて。
他のメディアの利用時間は、「テレビ(録画)視聴時間」が20.2分、「ラジオ聴取時間」が13.4分、「新聞閲読時間」に至っては8.5分に過ぎなかった。
目的別のメディア利用状況でも、「いち早く世の中のできごとや動きを知る」ではインターネットが54.8%、テレビが42.0%、新聞が1.7%だった。一方、「世の中のできごとや動きについて信頼できる情報を得る」では、テレビが53.7%でトップとなり、インターネットが26.1%、新聞が15.5%となり、新聞を選択する人が増加した。
これらの結果をみれば、従来のマスメディア、特に新聞の〝没落〟は激しいものがあるが、実際は新聞の情報はインターネットを通じて読まれているという現実もある。調査では、ニュース記事を読む手段について調べているが、「紙の新聞」が43.7%で、「新聞社の有料ニュースサイト」4.1%、「新聞社の無料ニュースサイト」13.4%、「ポータルサイトによるニュース配信」72.2%、「ソーシャルメディアによるニュース配信」46.9%、「キュレーションサービス」19.3%などとなっている。
「ポータルサイトによるニュース配信」も「ソーシャルメディアによるニュース配信」も配信元が新聞社である限り、国民の多くは新聞社の情報に依存していることになる。配信元が新聞社であることを勘案すれば、インターネットのニュースはどこをみても〝金太郎飴〟的なニュースになっているということになる。
新型コロナウイルス感染症をめぐっても、政府の対策について批判一辺倒で、正確な評価などなされていない。政府のさまざまな支援策の実態が報じられることなどはほとんどないし、感染症対策の責任をすべて政府に押しつけるかのような報道ぶりだ。
テレビに至っては、街の声を取り上げてさもそれが世論のような印象を視聴者に与えたり、決して専門家とは言えない医師を登場させて、危機感ばかり煽ったりしている。
五輪を契機に感染が拡大したかのような情報も垂れ流したが、同じ時期に海外でも感染が急増したことすらほとんど報じない。
ましてや日本がG7諸国の中で、死亡者が格段に少ないことなど日本の従来メディアをみても分からないのだ。
薄っぺらで一方的な報道をしている限り、メディアへの信頼はますます失われていくのだろう。
(terracePRESS編集部)