朝日新聞の視野狭窄

同じ事実を報道するのに、ここまで報道姿勢が違うのかと改めて思う紙面だ。11月17日の朝刊。失踪外国人技能実習生の調査をめぐり報じた朝日、読売両紙を読み比べると、それがよく分かる。

調査は、入管法改正案審議の一環として法務省が国会に提出したもので、失踪の動機に「低賃金」を挙げた人が67.2%、「指導が厳しい」が12.6%だった。

 

両紙ともこの調査について1面トップで報じたが、両紙の見出しを見てみよう。読売は「実習生『低賃金で失踪』67% 月10万円以下半数超」とし、調査結果を丁寧に報じている。

これに対し朝日は「失踪実習生調査『誤り』 項目名も数値も修正」としている。

 

実はこの調査は、法務省が事前に野党に説明したものや、参院予算委で山下法相が「より高い賃金を求めた失踪が約87%」と答弁していたものと内容が異なっていた。

法務省が国会に提出した調査結果は、これまで「より高い賃金を求めて 86.9%」としていたものを「低賃金 67.2%」に、「指導が厳しい」との項目で「5.4%」だったものを「12.6%」とそれぞれ修正していた。

 

読売新聞はこの修正した調査結果の内容を丁寧に報じ、さらに入管法改正をめぐり政府が、新たに作られる特定技能の有資格者について、給与を「日本人と同等以上の水準」とするよう雇用者に求める方針であることを説明している。

 

この調査結果が示唆しているものは、実習生が低賃金の環境下におかれ、だからこそ失踪しているという実態があることだ。その傾向が読み取れるのは、修正前も後も同じだ。

 

しかし、朝日はそうした解釈はせず、批判する野党の主張を反映させる紙面づくりに終始している。事実、2面の「時時刻刻」では、本文の書きだしに「致命的なミス。許しがたい改ざん。法案の根幹部分がひっくり返った」との立憲民主党の山尾志桜里氏のコメントを紹介している。

 

調査結果の方向性は変わらないことには目をつぶり「法案の根幹部分がひっくり返った」と指摘するだけでなく、「改ざん」という事実があるかどうかもわからないのに、そのまま記事で紹介しているのだ。

 

政府の批判できればなんでもいいという朝日新聞の面目躍如と言えるような紙面だ。しかし、こんな視野狭窄の紙面からは何も生まれない。

 

生産人口が減少していく中で、労働力をどう確保していくかという問題は、非常に重いテーマであり、喫緊の課題だ。労働力が確保できなければ、日本の経済成長にもブレーキがかかるのだ。

 

そうした中で、政府を批判していればいいというメディアの姿勢は、日本の今後にとってマイナスでしかない。