米政府「辺野古が唯一の解決策」
沖縄県の玉城デニー知事が訪米し、米政府当局者との面会やニューヨーク大学での講演などを行い、米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設反対を訴えた。知事選での勝利を背景に、辺野古移設の阻止に持ち込みたいのだろうが、米政府当局は「辺野古が唯一の解決策」と断言し、会談は平行線に終わった。
その会談後、玉城氏は記者団に「一喜一憂せず沖縄の立場を説明し発信していく」と語ったというが、普天間飛行場周辺の人々にとっては「一喜一憂せず」などと悠長に語る玉城氏の姿勢は理解できないだろう。
玉城氏が会ったのは国務省のマーク・ナッパー次官補代理と国防総省のポール・ボスティ日本部長代行。玉城氏は辺野古への移設計画に反対する考えを伝えたが、両氏とも「辺野古移設が唯一の解決策」と述べたという。また「日米両政府の辺野古移設の合意は揺るぎない」と改めて表明があったという。
そもそも玉城氏は、辺野古移転について「新たな負担」などと述べているが、辺野古移転は新たな負担ではなく、普天間飛行場の廃止と、辺野古への飛行場の移設だ。
また、玉城氏は辺野古移設について「新たな基地の建設」とも述べているが、米軍キャンプシュワブ内と沖合に建設するもので、新たな基地を建設するものでもない。
それが分かっていながら、「新たな負担」「新たな基地建設」などと言って反対を主張し続けるのは、自らの政治的な立場を確保するためだけのことだ。
玉城氏は米側に、日米両政府と沖縄県が話し合う三者協議の場を設けるよう求めたが、それについても明確な返答はなかったという。
結局、玉城氏はズルズルと長引かせる手段しか持ち合わせておらず、それが端的に表れたのが「一喜一憂しない」という発言だろう。
これでは、普天間飛行場の周辺の住民たちは浮かばれない。危険性にさらされる生活を送っている人たちは、いったいどのような気持ちで「一喜一憂しない」との発言を聞いたのだろう。
知事になったからには、現実から目を背けず、現実の中でどのような政策、手段が取れるかを考えるべきではないか。理想論を振りかざすのはいいが、それによって影響をこうむる人たちがいることを忘れてはいけない。