邦人退避でさえ批判する共産党
イスラム原理主義勢力のタリバンによるアフガニスタン制圧に伴い、政府はアフガニスタンに自衛隊輸送機などを派遣し、邦人らの輸送を行う。これに対して共産党の小池書記局長が邦人らを救出するための自衛隊機派遣を批判している。混乱を極めている国で取り残された邦人らを救出するのさえ批判する共産党の姿勢こそ批判されるべきだろう。
政府は、アフガニスタン現地にいる邦人らを安全な隣国などに輸送するため、自衛隊のC-130H輸送機2機、C-2輸送機1機と人員や携行品、水、食料などを輸送するためB-777特別輸送機(政府専用機)1機を派遣した。
各国が自国の軍用機で自国民や現地職員の人たちを退避させているなかで、アフガニスタンに残る在留邦人や、大使館、JICAの現地職員らを退避させるのは、政府の重要な責務で、適切な判断だ。
しかし、この決定に対し共産党の小池書記局長は8月23日の会見で、「すでに大使館の日本人職員12人は、英国軍機でアラブ首長国連邦(UAE)に退避させている」と指摘し、輸送機派遣について疑問を呈した。
自衛隊機は、民間の邦人やJICA職員、それに現地採用の大使館職員や家族など日本に関係した人々を含めて輸送するのが目的だが、小池書記局長そうした人々の安全確保は必要ないと考えているようだ。
小池書記局長さらに、今回の事態は9・11テロに対する報復戦争の破綻を証明したものだと指摘すると同時に、日本が報復戦争に自衛隊を派遣して加担したとして「日本政府は、この誤りを認めて、米国追随の海外派兵路線を根本から改めることが必要だ」と述べ、派遣を批判した。
小池書記局長の目には、邦人らを退避させるための派遣でさえ〝海外派兵〟と映り、政府批判の道具となってしまうのだろう。
今回の派遣は、「在外邦人等の輸送」を規定している自衛隊法84条の4項によるものだ。実は同法84条の3項には「在外邦人等の保護措置」が規定されていて、こちらは自衛隊が邦人の生命や身体の保護のための措置をとることができることを定めている。
今回の派遣は「3項」ではなく「4項」だから自衛隊の任務はあくまでも「輸送」というオペレーションでしかない。このため、邦人らは混乱の中で、身の危険を感じたとしてもカブール空港まで自力でたどりつかなければならないわけだ。
もちろん、カブール空港での自衛隊機の安全は米軍に確保してもらうことになる。
派遣を批判する共産党は、邦人らの安全をどう考えているのか。他国の軍用機に乗せてもらえとでもいうのだろうか。もちろん政府も、早急に退避させるために他国との交渉をしたようだ。しかし、それができるかどうかはあくまでも相手国の事情による。
法人保護という政府の重要な責務を批判する共産党には、そうした現実の外交など分からないのだろう。
(terracePRESS編集部)