実質賃金21年5カ月ぶりの大幅増

雇用者の賃金をめぐっては厚生労働省の審議会が7月、2018年度の最低賃金(時給)の引き上げ額を、比較できる02年度以降で最大の上げ幅となる26円(全国の加重平均)とする目安をまとめたばかりだが、今度は労働者の実質賃金が21年5カ月ぶりの高い伸びを示したという。雇用、賃金対策に重点を置く安倍政権が着実に実績を残している。

 

厚労省が8月7日発表した6月の毎月勤労統計調査(速報値)によると、名目賃金から物価変動の影響を差し引いた実質賃金が前年同月比2.8%増で、2カ月連続のプラスとなった。注目すべきは2.8%増の伸び率で、金融危機前の1997年1月(6.2%)以来21年5カ月ぶりの高い伸び率となった。

好業績を背景に企業が賞与を増やしたためとみられるが、企業側に賃上げを求め続けた安倍首相の実績という点も忘れてはない。

 

安倍首相が経済界に3%のベアを求めた今春闘では、企業の定期昇給と基本給を底上げするベースアップ(ベア)を合わせた賃上げ率は2.53%にとどまったが、経団連などは年収ベースで3%達成の見込みを示していた。

今回の実質賃金の伸びが高かったのが賞与の増加だとしても、その背景には労働者の賃金確保を重視する安倍首相の姿勢があったことは事実だ。

 

日本の国内総生産の6割は個人消費が占めている。米国は7割で、日本はそれよりも少ないため、その分を公的固定資本形成、すなわち公共投資で補わなければならない。

もちろん、交通網の整備や防災などを行う社会資本整備の必要性は間違いないのだが、日本の場合、個人消費が少ない分、公共投資を行わなければ、経済が縮小してしまうのだ。

 

個人消費が増えれば、その分、公共投資を減らすことができるのだが、個人消費の拡大は容易ではない。個人の収入を増やさない限りは、消費の拡大は望めないからだ。消費者に大人気となる新商品が発売されたりすれば消費が拡大することはあるだろうが、それは一過性の事象に過ぎない。構造的に個人消費を拡大するためには、賃金を増やしていくしかない。

 

もちろん、賃金の上昇は足元の景気にも好影響を与えることは言うまでもない。短期的にも消費が拡大すれば、生産も刺激され、それは賃金に反映するという好循環が生まれる。

 

いずれにしても、21年5カ月ぶりの高い伸びと言っても、6月一月の賃金であり、地味な話でもある。しかし、安倍首相の経済政策が実を結び、こうした統計に反映していることは間違いない。