国民守る決意示した自民党参院選公約
自民党は先ごろ公表した参院選の公約で、安全保障環境の悪化から国民を守る決意を改めて示した。特に、安全保障については現在の取り組みが次世代、次々世代の国民の安全にも影響する重要な政策だ。国民が安心でき、生命・財産を守ることが政治の重要な使命だ。
安全保障は国民の日常生活からは距離があるため、なかなか国民の関心が及ばない分野だ。
しかし、ロシアのウクライナ侵略という、現代でも国際法をあからさまに無視し、武力攻撃して他国の国民の生命を奪い、領土を占拠するという不法行為が現実に起こることを目の当たりにした。
それに加え、アジアでも中国が南シナ海の南沙諸島で国際法を無視して軍事拠点を設置しているほか、沖縄県石垣市の尖閣諸島では中国公船の領海侵入も相次いでいる。日本の安全保障にも影響が避けられない台湾海峡の緊張は高まり、北朝鮮はミサイルの発射のほか、核開発も進めていると考えられている。
日常生活からはうかがい知ることは困難だが、日本の安全保障への脅威は現実に高まっているのだ。
こうした状況変化の中で自民党は参院選に向けた公約の項目の最初に「毅然とした外交・安全保障で、〝日本〟を守る」と掲げ、「外交と防衛は国家の根幹であり、車の両輪。ロシアのウクライナ侵略、中国や北朝鮮の軍事力強化など、安全保障環境が加速度的に厳しさを増す中、外交力、抑止力および対処力を強化し、わが国の主権、名誉、国民の生命と財産、領土・領海・領空を守り抜く」と決意を述べている。
具体的には「国際社会の平和と安定を実現する」「国防力を抜本的に強化する」「海上保安体制を強化し、海洋秩序を保つ」「経済安全保障をさらに推進する」の4つを柱としている。
「国際社会の平和と安定を実現する」では、「来年のG7議長国として、普遍的価値に基づく国際秩序の維持・発展に主導的役割を果たす」としたほか、「ODAを拡充し、国際保健や経済安全保障等を戦略的・機動的に推進する」「『自由で開かれたインド太平洋』の実現に向け、米、豪、印、欧州、ASEAN、太平洋島嶼国、台湾等との連携を強化する」などとしている。
「国防力を抜本的に強化する」では、「国家安全保障戦略を改定し、新たに国家防衛戦略、防衛力整備計画を策定する」「NATO諸国の国防予算の対GDP比目標(2%以上)も念頭に、真に必要な防衛関係費を積み上げ、来年度から5年以内に、防衛力の抜本的強化に必要な予算水準の達成を目指す」「最先端技術を駆使した“戦い方”の変化に応じた能力強化と態勢構築を進める」「弾道ミサイル攻撃を含むわが国への武力攻撃に対する反撃能力を保有し、これらの攻撃を抑止し、対処する」などとしている。
弱みがあればそこを狙ってくるのが国際政治の冷酷さだ。ウクライナにしてもNATOに加盟していないという弱みをロシアが狙ったとされている。
日米安保体制を強化するとともに、日本の防衛力を強化することが日本の抑止力を向上させ、国民の生命・財産を守ることにつながる。もちろん外交によって問題を解決することも必要だが、それだけでは国を守ることはできない。
(terracePRESS編集部)