山梨に必要なのは中央とのパイプ
来年は統一地方選、参院選と大きな選挙が相次ぐ年となる。その選挙イヤーの皮切りとなるのが、1月27日に投開票となる山梨知事選だ。知事選には、現職の後藤斎知事のほか、元衆院議員の長崎幸太郎氏も、元参院議員の米長晴信氏が立候補を表明。共産党も候補擁立の準備を進めている。
後藤氏は国民民主、立憲民主などが推薦、長崎氏は自民党が推薦することを決めており、与野党が激突する知事選となる。
後藤氏は「県民党の立場を堅持し、県民のための県民による政治を確立したい」と述べているが、自民党など保守層を取り込めずに〝県民党〟を称するのはどうかと思うが、それはそれとして、山梨県にとって今回の知事選は地域の未来を決める選挙となることは間違いないだろう。
安倍政権は現在、地方創生を強力に進めているが、県にとってこれからの重要な課題が地域の活性化になることは間違いない。
後藤氏は「外国人の宿泊者数が過去最高を記録」「企業立地件数が13件から43件に増加」「国・県の公共事業予算は平成26年度から大幅増加」などと1期目の成果を誇っているが、外国人観光客の増加は政府の外国人観光客の誘致策に負うところが多いし、企業の立地件数の増加は、好調な国内経済を反映したものだ。公共事業予算の増加は、安倍政権の財政出動の成果であることはいうまでもない。
つまり、後藤知事がこれまでの成果と称しているのは、安倍政権の政策に負うところが多いのが現実だ。
問題は、これからの活性化をどうしていくのか、という点だ。これからの地域づくりは、地域間競争が激しくなってくることは間違いない。気を抜けば、他の地域に追い越されるということも十分あり得る。そのために地域独自のアイデアや地域の協力が不可欠であることは言うまでもない。
それにもまして重要なのは、中央とのパイプだ。これまでの地域政策は県庁挙げての取り組みで推進することができた。しかし、地域間競争が激しくなるこれからの時代は、中央政府をうまく利用しなければならない。これができない地域は衰退するしかないのだ。
後藤氏はそもそも民主党の衆院議員で、野田内閣で内閣府副大臣を務めている。いうまでもなく民主党政権は、独善的な政治を展開したり、霞が関の官僚機構と対峙したりし、その結果、日本の社会を混乱に陥れた。そうした政党で育った政治家には、中央とのパイプをうまく使うということは不可能だ。
山梨県が今後とも発展するには、政府や民間とうまく付き合い、地元の活性化に貢献させる。そのような手法が不可欠だ。その点、後藤氏はその手腕が決定的に欠けているのだろう。