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2022.08.09

給与増で物価高の影響抑制に

厚生労働省が先ごろ公表した6月の毎月勤労統計調査(速報、事業所規模5人以上)によると、基本給と残業代などを合わせた現金給与総額452,695円、前年同月に比べて2.2%増となった。物価変動の影響を除いた実質賃金は0.4%の低下となったが、給与増が物価高の影響を最小限にとどめた形だ。

 

現金給与総額のうち一般労働者が608,617円と2.5%増、パートタイム労働者が108,730円で2.7%増となり、パートタイム労働者比率が31.31%(0.39ポイント上昇)となった。

 

また、現金給与総額452,695円のうち特別に支払われた給与が183,590円で3.1%増、きまって支給する給与が269,105円1.7%増だった。

特別に支払われた給与、つまりボーナスが3.1%増と好調だったため、6月の現金給与総額の増加に寄与したが、それでもきまって支給する給与も1.7%増となっている。

 

きまって支給する給与の前年比をみると2021年は2月が0.5%減、5月が1.8%増などとなり、年後半は0%台で推移。22年に入ると1月から6月まで1%台を継続している。

 

岸田政権の「新しい資本主義」は、成長と分配を両立させることで持続的な成長を実現しようというもので、中でも今春闘や、先ごろ了承された最低賃金でも、賃上げに向けた動きが現実になり、〝成長と分配〟の分配についての成果が明確になっている。

 

また、今回の毎月勤労統計調査で労働時間をみると、総実労働時間は142.4時間で1.2%増となった。そのうち所定内労働時間132.3時間で0.9%増、所定外労働時間は10.1時間で6.1%増となっている。

強制的な措置はなくなったとはいえ、新型コロナウイルス感染症の拡大の影響はまださまざまな産業にあるが、それでも労働時間が増加傾向にあることは経済が回復傾向にあることを示している。

 

以上のように現在、賃金が上昇していることは間違いない。それは政府、経済界の努力の成果だ。だからといって、満足できるレベルかというと、そうではないことも事実だ。賃金上昇の足取りは依然として重いもので、一層の改善が求められる。

 

そして、さらに課題となるのが物価の上昇だ。現在のように〝輸入インフレ〟の場合は、国内経済の状況とは関係なく物価が上がるため、対応が困難になる。

 

事実、6月の賃金動向をみても、名目の現金給与総額が2.2%増となっても、物価変動の影響を除いた実質賃金は0.4%の低下となってしまう。しかし、名目で賃金が上昇していることは事実だ。

 

メディアなどは実質賃金の低下ばかり喧伝するが、物価高と賃金を分けて考えなければ社会の現実は見えてこないし、適切な対応もとれなくなる。

 

(terracePRESS編集部)

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