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2021.08.25

非常事態体制はどうあるべきか

新型コロナウイルス感染症の急拡大で「見えにくい大災害」という声や「行動制限の法的整備が必要」との意見が出ている。医療体制が崩壊するという危機的状況は確かに大災害に近いし、法的整備も必要だろう。しかし、具体的にどのような法的整備が必要なのかは一向に聞こえてこない。

 

田村厚労相は22日のテレビ番組で、新型コロナ対応の病床確保で補助金をもらいながら患者受け入れに消極的な医療機関があることについて「あるとすれば問題だ。補助金の返還も含めて対応せざるを得ない」との考えを示した。

厚労省は、新型コロナ対応で新たに病床を確保した医療機関に1床当たり最大1950万円を補助しているが、東京都では確保病床数と病床使用率の乖離が大きく、同省は実態調査するという。

 

厚労省は8月6日に各都道府県衛生主管部(局)向けに「新型コロナウイルス感染症患者等入院医療機関について」という事務連絡を発出している。これは、都道府県から新型コロナウイルス感染症患者の入院要請があった場合は、正当な理由なく断らないことと、即応病床があっても適切に受入れていない医療機関は、当該医療機関の即応病床数を見直すことなどを求めている。本サイトでも18日付けでこの通知を紹介している。

 

問題なのは、感染対策のほとんどがお願いベースで行われていることだ。病床についても補助金を出すから受け入れをお願いしているだけだし、飲食店もそうだ。人流を減らすと言っても、商業施設の営業自粛や企業へのテレワークの実施の要請だ。ほとんどがお願いベースの対策だ。

 

病床が逼迫するなら、病床を確保するための政府の法的権限が必要だし、場合によれば患者を移動させたり、病院を接収したりする権限も必要かもしれない。

そうした政府の法的根拠がないまま、補助金と引き換えに病床を確保するしか手立てがないから、病院側が勝手に受け入れをしないような事態が起こるのだ。

 

商業施設の営業についてもそうだ。非常事態にはお願いベースの要請ではなく、政府が法律に基づいて命令するような仕組みが必要だ。人流抑制にしても、各鉄道会社はこれまで〝自主的〟に終電の繰り上げを行ってきたが、これも政府の指示によってダイヤの見直しが行われるようにする必要がある。

 

新型コロナ対策の限界が言われている。確かに現行の対策に限界があるのは事実だが、それはすなわち政府の限界なのだ。政府ができることの限界でもある。

 

それを打破するには政府に法的権限を与えるしかない。もちろん、非常事態に限ってのことだが、政府のどのような権限が必要なのか、一つ一つ検討して実効性のある対策ができるようにすることが不可欠だ。それをしないままに「大災害」「行動制限」と言っても、何も前に進まない。

 

(terracePRESS編集部)

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