スタートした菅政権の成長戦略会議
菅政権は先ごろ、新たに設置した「成長戦略会議」の初会合を開いた。菅首相は経済財政諮問会議を経済運営の司令塔機能と位置づけ、成長戦略会議が改革の具体策を議論する。成長戦略会議は本年末、中間的な取りまとめを策定する方針で、その取りまとめに沿って菅改革も加速する見込みだ。
安倍政権では未来投資会議が成長戦略の具体策を議論したが、今後はその役割を成長戦略会議が行っていく。
経済財政諮問会議が毎年6月ごろ骨太方針、年末に来年度予算の方向性と重点課題、翌年6月ごろに骨太方針というようにそれぞれ策定していくのに合わせ、成長戦略会議は6月ごろに成長戦略、年末に成長戦略中間取りまとめを策定するスケジュールとなっている。
経済財政諮問会議と成長戦略会議が連携し、今後の改革のけん引役となっていくわけだ。
初会合では、10月6日に開かれた菅政権初の経済財政諮問会議で今後のテーマとして民間議員から「経済情勢に応じ、必要な経済財政政策を躊躇なく講じていくべき。また、デジタル化、規制改革に大胆に取り組み、経済をより一層活性化させる必要がある。あわせて社会保障改革等を通じて、財政健全化の将来的な道筋もしっかり描いていくべき」との認識が示されたことを紹介。
その上で感染対策と経済の両立に当たり「デジタル化・規制改革を一体としてスピード感をもって行うこと、企業と企業、中小企業や地方への人の流れを作ることによって地域の生活の満足度を高め、地域経済の活性化、ひいては日本経済の力強い再生を実現させること、これを大きな目標として掲げ、そのための政策の大きな方針を打ち出していくべきではないか」との問題意識が提起されたことも紹介された。
当面の課題としては、ウィズコロナ、ポストコロナの時代の国内企業の事業再構築や生産性の向上、労働移動の円滑化、強靱なサプライチェーンの構築、新しい働き方の実現、足腰の強い中小企業の構築、バーチャル株主総会の実現などビジネス上のイノベーションの推進、グリーン成長というエネルギー・環境政策の再構築など幅広い分野を議論する見込みとなっている。
すでに菅首相は押印の廃止や不妊治療の保険負担、携帯電話料金の引き下げなど、それぞれ実施が困難だった改革に取り組むことを表明し、来年にはデジタル改革のためにデジタル庁も設置する方針だ。
しかし、こうした足元の改革だけでなく、さまざまな規制改革はもちろん、個別の政策テーマでも人材育成や企業改革、地域の活性化、農林水産業の活性化、ベンチャー・中小企業の育成など課題は山積している。そうした一つ一つの個別の課題に具体的に取り組むことが、日本全体のマクロ的な成果につながる。
(terracePRESS編集部)