共産党の見識問われる北海道知事選
統一地方選で唯一の与野党全面対決となるのが北海道知事選。注目されるのは唯一の与野党全面対決ということに加え、野党統一候補として元衆院議員の石川知裕氏が出馬することだ。
石川氏といえば、小沢一郎氏の元秘書で、小沢氏の資金管理団体「陸山会」を巡る政治資金規正法違反事件で2014年に有罪判決(禁錮2年、執行猶予3年)が確定した人物だ。
石川氏は2013年3月13日に東京高裁が下した「控訴棄却」の判決を受け、5月19日に「これからは、裁判闘争に専念する」として議員辞職した。その後、2014年9月に最高裁で上告が棄却され、禁錮2年執行、猶予3年の刑が確定した。
高裁で控訴棄却されてから、刑の確定までの間の 2013年10月には北朝鮮を訪問するなど、〝活発〟な活動をしていた。「北海道の十勝地方の農家の人々との農業技術交流団に加わった」などとされているが、いったい北朝鮮との農業交流とは何だろうか。
北朝鮮は2013年2月12日に3回目となる地下核実験を実施したと発表している。それを受けて、国連事務総長は「安保理決議に対する明白で重大な違反」と非難。3月8日には、国連安保理が北朝鮮への追加制裁を定めた安保理決議を全会一致で採択している。
いわば当時は、世界が一丸となって北朝鮮の行動を非難し、行動の抑制を求めている状況であり、その中でのこのこ訪朝するというのは政治的センスのかけらもないというほかはないだろう。
それはいいとして、知事選では共産党も石川氏を推薦する見通しだ。
政治資金規正法違反で逮捕され、禁固2年、執行猶予3年の刑が確定した人物を共産党が推薦するというのだから驚きだ。これまで石川氏の犯罪を散々批判してきたのが共産党だったのだ。
実は、共産党北海道委員会は、石川氏が記者会見で出馬を表明した2月8日に声明を発表しているのだが、そこには「(石川氏は)本日の記者会見で『司法判断が下されたことを重く受け止め、自らの不徳の致すところと自らを戒めております』と反省の言葉を述べた。道常任委員会は、石川氏の発言を偽りのない言葉として信頼するとともに、石川氏が17年総選挙や昨年の帯広市議補欠選挙などで、『市民と野党の共闘』の重要性を理解し、わが党関係者とも信頼関係をつくるために尽力していることを評価している」と記されている。
繰り返しになるが、東京高裁が下した「控訴棄却」の後、自ら裁判闘争に入ることを宣言し、最高裁で刑が確定後も「到底納得できない判決」と訴えていたのだ。司法の判断を重く受け止めるということはあるのかもしれないが、共産党の指摘するような「反省」ではないのだろう。
共産党は、政財界のゆ着や不透明な政治資金などにメスを入れてきた政党なのだろう。そのため石川氏も批判してきたはずだ。それが手のひらを返すように推薦するとは、地道に活動してきた党員の努力を台無しにするものだろう。共産党の見識が問われることになる。
(terracePRESS編集部)