嗤える立憲民主党の「外交・安全保障公約」
立憲民主党は先ごろ、衆院選で訴える外交・安全保障公約を発表した。枝野代表は「わが国の外交安全保障の王道に戻す」と言っているが、「政権を取る」と豪語している割には、そこには国際関係の中で日本のポジションの移り変わりなど時代観を感じることはできない。ここでも〝いいとこ取り〟〝つまみ食い〟のオンパレードで、だから国民から支持されないのだろう。
公約は「平和を守るための現実的外交」と銘打ち、①健全な日米同盟を基軸とした現実的な外交・安全保障政策②地球規模の課題への積極的な取り組み③対等で建設的な日米関係④経済安全保障・食の安全保障の確立の4項目を柱としている。1つの項目ごとに複数の政策を示しているが、これらは外交・安全保障の公約と言えるような代物ではない。
枝野代表は発表にあたって「外交安全保障には継続性が重要であるという側面もある。むしろ、安倍、菅政権の9年近くの間に壊されてきたものを従来のわが国の外交安全保障の王道に戻すという側面も含まれている」などと説明している。「安倍、菅政権の9年近くの間に壊されてきたもの」が何を示しているのか明示的ではないが、日本が、日米安保はもちろん、域内外のパートナーとの信頼関係や協力関係を深めて日本の安全保障を確保すること、つまり安保法制などを指しているのだろう。
安保法制は、国際社会全体、日本周辺の安全保障環境が厳しさを増していることや、経済大国としての国際社会での日本のポジションの変化などに対応するものだが、枝野氏には、そうした時代観はまったく欠如している。
公約では「専守防衛に徹しつつ、領土・領海・領空を守る」としているが、ここには「国民生活」という概念はないらしい。例えば、国民の生活を支えるシーレーンの安全を確保するためには、日本は何も行動をしないということだ。「領土・領海・領空を守る」ことが防衛と思っているのならあまりにも稚拙だ。
また、枝野氏は「日米同盟が基軸であるという、従来のわが国の基本政策を変えるつもりはない」と述べているが、日米関係については「沖縄県民の民意を尊重して辺野古新基地建設を中止し、沖縄における基地のあり方を見直すための交渉を開始する」と盛り込んでいる。
そもそも辺野古に建設しているのは、普天間飛行場の代替施設であって〝新基地〟ではない。かつての民主党政権が辺野古移設を決めた日米安全保障協議委員会(2+2)の共同声明でも「the replacement facility」と表記されている。
それはそれとして、辺野古の施設建設を中止するという主張は分かるが、「中止する」というのは子どもでも言える。問題は、中止した場合に、普天間基地の返還をどう進めるのか、日米安保体制の中で、どのように日本の安全や、アジアの米軍の活動を確保していくのかということであり、これを示さなければ公約とは言えない。しかし、公約と称するものには、一言も具体策は述べられていない。
中国や北朝鮮、韓国についても、具体的な〝政策〟は皆無。まさに立憲民主党に政権担当能力が無いことを示した「公約」と言える。
(terracePRESS編集部)