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2021.10.14

単純すぎる枝野氏の「分配」先行論

経済を自律的に拡大させるには成長するための経済環境の整備が必須だ。しかし、立憲民主党の枝野代表は「分配」しさえすれば「好循環」が生まれると思っているのだから驚きだ。こんな単純な〝政策〟で経済が好循環を果たすなら、中学生でもできる。政権担当能力がないことを自ら示しているようなものだ。

 

衆院本会議で11日に行われた代表質問で枝野氏は「バブル崩壊から30年近く、経済成長を妨げてきた主な要因は国内消費の低迷だ。将来不安が大きいために、財布の紐が固く締められていること、そして格差と貧困の拡大、固定化で、お金がなくて消費できない人を増やしてしまったことが原因だ」と訴えた。

 

その上で「適正な分配が機能せず、将来不安が広まっていることと相まって、成長を阻害していることが最大の問題だ。成長の果実を分配するのでは、いつになっても好循環は進まない。好循環の出発点は適正な分配にあると考える」などと主張した。

 

確かに、国内消費、中でも個人消費はGDPの約6割を占めており、バブル崩壊以降〝低迷〟していることは事実だ。そのため、何度も経済対策が行われ、ある時は減税が実施されたり、ある時は公共投資などを増大させたりして景気刺激を行ってきた。それでも個人消費が急激に拡大することはなかった。

 

ところが枝野氏は、分配しさえすれば好循環を生み出すというのだ。簡単に言えば、お金を渡せば使ってくれる、ということなのだろうが、これでは経済構造の見方が余りにも単純すぎる。

 

日本は戦後から先人たちの血のにじむような努力でさまざまなモノを作り出してきた。付加価値もつけ、消費者に受け入れられるようなモノを大量に安価に供給した。その努力によって欧米諸国にキャッチアップした。耐久消費財にしても付加価値が付けられ、なんと言っても壊れない製品となっている。

だから、個人消費が低迷する一方でモノ余りの時代にもなっている。「売れる物が見つからない」時代だ。これは消費者からすれば「欲しいものが見つからない時代」でもある。

 

枝野氏の主張のように、中間層を増大させれば個人消費が活性化するというのは、高度成長時代ならいざ知らず、今の時代には通用しない。だからこそ、新しいモノやサービスを作り出す規制緩和などの成長戦略が重要となる。それによって経済を成長させ、その果実を分配して自律的な好循環を作り出すことが不可欠だ。

 

もちろん、貧困対策を優先して実施することは不可欠だし、格差是正も必要なことは言うまでもないが、消費税減税なども含めて金をばらまけば経済が成長するという単純な時代ではない。

 

岸田首相は枝野氏の質問に対して「岸田政権は成長か分配かではなく、成長も分配もが基本スタンスだ」「今後とも最大の目標であるデフレからの脱却に向けて大胆な金融政策、機動的な財政政策、成長戦略の推進に努める。その上で成長と分配の好循環による新しい資本主義の実現を目指す。同時に、分配なくして次の成長なしだ。働く人への分配機能の強化等を通じ、成長の果実をしっかり分配することで初めて次の成長が実現する」と強調している。

 

(terracePRESS編集部)

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