立憲への共産「閣外協力」の本当の意味
立憲民主党が総選挙で勝利した場合、共産党が「閣外協力」するという。しかし、同じ野党の国民民主党や、立憲民主党の支持母体である連合からは「あり得ない」と反発が相次いでいる。「国民の生活を守る」などと口では言いながら、共産主義社会を目指す共産党。共産党の閣外協力を容認する立憲民主党は、共産党と同様、民主主義を否定する反国民政党ということになる。
立憲民主党の枝野代表と共産党の志位委員長は9月30日に会談、次期衆院選で政権交代が実現した場合に、共産党が連立に入らず、「限定的な閣外からの協力」をする方針で一致した。両党の閣外協力の合意は初めて。共産党が立憲民主党と競合する小選挙区で候補者を取り下げる根拠ともなる。
この合意は4日の首相指名選挙でも発揮され、岸田首相は衆院が311票、参院で141票を得たのに対し、立憲民主党の枝野代表は衆院124票、参院65票となった。共産党は、合意に基づいて枝野氏に投票している。
共産党はそれまで「閣内・閣外協力ともにあり得る」などといった姿勢を示しており、立憲民主党政権ができた場合に、なんらかの影響力を保持することを戦略に据えていたが、枝野・志位会談で、その方針に基づいた方向となったわけだ。
この合意に反発しているのが連合。連合の芳野新会長は7日の会見で、「共産党の閣外協力はあり得ない。(立憲の)連合推薦候補者の選対にも共産党が入り込んで両党の合意を盾に、更なる共産党政策をねじ込もうという動きがある」と述べ、批判している。
また、国民民主党の玉木代表は、10日のテレビ番組で「共産党との閣外協力は、我々もあり得ないと思っている」と断言。さらに、立憲民主党との合流について、「立憲民主党が今のままであれば合流はない。我々は独自に衆院選をしっかり戦いたい」と述べている。
連合の芳野会長は「連合推薦候補者の選対にも共産党が入り込んで両党の合意を盾に、更なる共産党政策をねじ込もうという動きがある」と述べているが、もし立憲民主党が政権を獲り、共産党が閣外協力するという関係になるのなら、芳野会長が言うように共産党の影響力が浸透することは避けられない事態になるだろう。
選挙で共産党に候補者を降ろしてもらうなら、立憲民主党の候補に共産党の政策を取り入れることは容易に想像できるし、仮に政権ができた場合、法案を通すためには共産党の協力が不可欠となるだろう。
共産党は日米安保条約の廃棄や、天皇制についても事実上、廃止を目指したり、「社会主義的変革の中心は、主要な生産手段の所有・管理・運営を社会の手に移す生産手段の社会化である」などと綱領に書いているように、企業や農地などを株主や個人から取り上げることを目指している政党だ。
そうしたもくろみに少しでも近づけようという、その第一歩が立憲民主党との閣外協力なのだ。
そうした思惑があることを知っていながら閣外協力に合意した立憲民主党の責任は重い。
(terracePRESS編集部)