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国民生活に直結する岸田政権の経済安保

岸田政権は、重要な政策として安全保障上重要な戦略物資や技術を確保する「経済安全保障」の強化を打ち出した。これまでいなかった経済安全保障担当相を新設したほか、「経済安全保障室」を設置する。安全保障というと軍事的側面だけに注目が集まりがちだが、国際的な競争や摩擦が激しくなる中で、日本の独立や生存、繁栄を経済面から確保する経済安保は不可欠となっている。

 

実は、「経済安全保障」は自民党の「新国際秩序創造戦略本部」が議論を進めてきたもので、同本部は昨年12月、「『経済安全保障戦略策定』に向けて」と題した提言をまとめている。

提言では、経済安保の基本的考え方として「いかなる状況下においても国民生活および社会・経済活動を維持するために、戦略基盤産業(エネルギー、通信、食料、金融、物流など)をまずはわが国自身の努力により強靱化する」などとしている。

 

小林経済安全保障担当相は5日の就任会見で、「経済と安全保障がまさに融合していく世の中になっている。安全保障は安全保障、経済は経済、こういう風に割り切れる時代は終わりつつある。『経済』と『安全保障』を一体としてとらえていく」などと経済安保の必要性を説明しているが、どのような事態に直面しても日本の独立や繁栄を確保するという考えだ。そういう意味では、国民生活に直結するものが経済安保ともいえる。

 

つまり、重要な物資などを過度に他国に依存することを変えたり、その一方で、世界で日本のプレゼンスや優位性を高めたりしていくという戦略だ。それができて初めて、国民生活の安定を図ることができる。

 

海外諸国との外交を強化すれば、そうした戦略は必要ないなどという主張もあるだろう。特に、立憲民主党や共産党などはことあるたびに「平和外交」などと主張しているが、いったん何かあればそうした戦略物資が調達できなくなるのが現実の社会だ。

 

事実、2010年には尖閣諸島沖で操業していた中国の漁船に対し海上保安庁の巡視船が退去を要求したところ、漁船が巡視船に体当たりする事件が発生。海上保安庁は漁船の船長を公務執行妨害の疑いで逮捕し、検察に引き渡したが、その際に中国が行ったのは、日本に対するレアアースの輸出制限だった。

 

このようなことが実際に起こる限り、経済安保戦略を実行することが不可欠で、このような安保戦略を推進することが外交力を強化することにもなる。

岸田政権は、来年の通常国会にも経済安保法案を提出する見込みで、放送や通信、銀行への外資による出資やシステム整備を監督できる仕組みの導入や、半導体と電気自動車(EV)用先端電池、レアアース(希土類)、医薬品などの重要物資の調達網の強化などを図る措置なども浮上しそうだ。

 

経済安保はもちろん、岸田政権になって突如出てきた政策課題ではなく、自民党の新国際秩序創造戦略本部では昨年、半年間をかけて議論してきたことだし、それ以前から党内で必要性を求める声は大きかった。そこはやはり、政権政党としての責務であり、政策立案能力でもある。そこが野党とは決定的に違うところでもある。

 

(terracePRESS編集部)

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