「成長も、分配も」と格差是正進める岸田政権
岸田首相は先ごろの所信表明演説で、格差是正を進める分配政策を中心とする「新しい資本主義」を実現することを強調した。「成長か、分配か」という二者択一ではなく、「成長も、分配も」という新しい社会を目指す。野党や一部メディアは相変わらず偏った見方しかできずに批判するだけだが、これまでの政権の実績を基にしながら新しい社会の構築が始まることは間違いない。
岸田首相は演説で、経済政策について、いの一番に「マクロ経済運営については、最大の目標であるデフレからの脱却を成し遂げる。そして、大胆な金融政策、機動的な財政政策、成長戦略の推進に努める。危機に対する必要な財政支出は躊躇なく行い、万全を期す。経済あっての財政であり、順番を間違えてはならない」と述べている。
つまり岸田政権が行うマクロ経済運営はデフレ脱却を目指して金融政策、財政政策、成長戦略を推進するということで、この部分に関しては安倍政権、菅政権と変わらない。
それはそうだろう。未だデフレから完全に脱却したといえない日本経済を前に進め、成長を続けるためには、金融、財政、成長戦略の組み合わせを確実に行っていくことしかないだろう。ただし、政府として危機に対して財政出動を躊躇なく行うと宣言した点は注視すべきだろう。
その上で岸田カラーと呼べるものが「分配戦略」だ。首相は演説で「働く人への分配機能の強化」「中間層の拡大、少子化対策」「看護、介護、保育などの現場で働いている方々の収入増大」「公的分配を担う財政の単年度主義の弊害是正。科学技術の振興、経済安全保障、重要インフラの整備などの国家課題への計画的な取り組み」の4つの柱を掲げている。
中でも「分配機能の強化」については、企業の非財務情報開示の充実や四半期開示の見直しに向けた環境整備、下請け取引に対する監督体制の強化、賃上げを行う企業への税制支援の抜本的強化などが想定されている。
賃上げ企業への税制優遇は安倍政権でも行われたし、政府が賃上げを要請する〝官製春闘〟も実施された。分配政策が看板となる岸田政権では、分配機能の強化がさらに強力に行われることになり、国民生活に大きく寄与することは間違いない。
朝日新聞は所信表明演説を受けた社説で「『新しい資本主義』の具体像は見えず、政治への信頼回復に不可欠な『政治とカネ』の問題には言及がない。冒頭に掲げた『信頼と共感を得られる政治』を本当に実現できるのか、道のりは遠い」と批判した。
メディアは「政治とカネ」というが、放置されているならまだしも、さまざまな問題はすでに国会で議論されたり、検証されたりしている。
国民が最も求めているのは充実した経済政策だ。今日の生活より明日の生活がよくなることを国民は望んでいる。それが政治の信頼を得ることになる。岸田首相が述べたように「成長も、分配も」こそが重要だ。成長がなければその果実を分配させることはできない。その両者のバランスを取ることに重点を置く岸田政権は、今日より明日の生活を良くすることになる。
(terracePRESS編集部)