岸田首相「世界に誇れる日本の未来を切り拓いていこう」
岸田首相は先ごろ招集された今国会の所信表明演説で「共に、次の世代への責任を果たし、世界に誇れる日本の未来を切り拓いていこう」と呼びかけた。新型コロナウイルス感染症やデジタル社会、グリーン社会の構築などさまざまな課題に対応しながら新しい資本主義社会を構築し、次世代に託すことは現世代一人ひとりの責務だ。
首相は演説の冒頭「我々みんなで協力し、この国難を乗り越え、その先に、新しい時代を創り上げていこう」と国民の協力を求めた。
首相は、医療体制の充実など新型コロナの新しい対策を紹介した上で、「新型コロナによる危機を乗り越えた先に私が目指すのは、『新しい資本主義』の実現」と改めて強調。その上で、世界では米国の「ビルド・バック・ベター」や欧州の「次世代EU」など新自由主義の弊害を是正しながら、成長を目指す新たな資本主義モデルの模索が始まっていることを紹介しながら、「我が国としても、成長も、分配も実現する『新しい資本主義』を具体化する。世界、そして時代が直面する挑戦を先導していく」と強調した。
もちろん、首相が演説で述べたのは、こうした理念だけにとどまらない。新しい資本主義下の成長戦略として「イノベーション」「デジタル田園都市国家構想」「気候変動問題」「経済安全保障」などを示し、「官と民が共に役割を果たし、協働して、成長のための大胆な投資を行う」と述べた。
「イノベーション」については「科学技術によるイノベーションを推進し、経済の付加価値創出力を引き上げる。上場を果たしたスタートアップが、更に成長していけるよう、上場ルールを見直すなど、スタートアップ・エコシステムを大胆に強化する」と指摘。
さらに、大学改革については「十兆円の大学ファンドを年度内に創設するとともに、イノベーションの担い手たる研究者が、大学運営ではなく、研究に専念できるよう、研究と経営の分離を進める。成長をけん引する、科学技術分野の人材育成を強化するため、大学の学部や大学院の再編に取り組み、さらに、地域の中小企業と連携した大学発ベンチャーの創出にも取り組む」などと語った。
その一方で首相は分配戦略について言及。「介護、保育、幼児教育の現場で働く方については、来年二月から三%、年間十一万円程度給与を引き上げる。看護職の方を対象に、まずは、地域で新型コロナ医療対応など、一定の条件を満たす医療機関で勤務する方については段階的に三%、年間十四万円程度給与を引き上げていく」と述べている。
その上で、民間企業の賃上げを支援するための環境整備に取り組むことを明言し「給与を引き上げた企業を支援するための税制を抜本的に強化する」などと具体策を明らかにした。
首相は演説の最後に「我々一人ひとりが、持てる力を存分に発揮し、果断に挑戦をし続ける。このことにより、日本は、大きく変わることができる。そう確信する。我が国の未来は、現在を生きる、我々の決断と行動によって決まる」と述べている。
日本は、没落の道を歩むか成長し続ける国になるのか、その分岐点に立っている。次世代に豊かな国を引き継ぐのは、今の国民の選択にかかっている。
(terracePRESS編集部)