代表質問で露わになった泉立憲民主党代表がダメな理由
立憲民主党の泉健太代表は8日の衆院本会議で代表就任後初めての代表質問を行った。代表質問では立憲民主党について自ら「立憲民主党は、政策立案型政党」と述べた。確かに政策らしきものは羅列したものの、政党としての限界が著しく露わになった代表質問となった。
泉代表は演説の冒頭、新型コロナウイルス感染症対策を取り上げ、立憲民主党が、自民党政調会長当時の岸田首相に、収入が減少した個人への追加給付、持続化給付金や家賃支援給付金の再給付、PCR 検査の拡大などを求めたことを強調し「なぜ政調会長時代に、必要な手を打たなかったのか」と質問。さらに、「この臨時国会で、補正予算を提出するというのは、あまりに遅すぎたとは思わないか」などと質した。
確かに、コロナの第5波が起こり、それに伴い医療体制が逼迫したことは確かだが、日本のコロナ対策が他の先進国に比べれば順調に推移していることなどは素知らぬふりだ。
何しろ泉氏は「立憲民主党は、このまま国会を閉じればコロナ対策に空白が生じるとして会期延長と 33 兆円の補正予算を提案しました。しかし政府与党は耳を貸すことなく第 5波が起きた」と言ったのだが、まるで国会を延長して補正予算を編成すれば第5波が起きなかったかのような口ぶりだ。
こうした難癖のような質問は立憲民主党の〝お家芸〟だから、それはいいのだが、問題は〝政策立案〟だ。
泉氏は演説の最後で「立憲民主党は、政府与党より、良い対案を国民の皆様に届ける。(中略)本日のこの代表質問でも 17 項目の政策提案を行った」と胸を張った。その17項目は税制、農政、外交・安全保障など多岐にわたったが、例えば「私たち立憲民主党は、中小企業の味方。中小企業が正社員を増やす際の障壁は何か?その一つが『社会保険料の会社負担』であることは明白。新たに正社員を雇用した中小企業の社会保険料を軽減しないか?」と提案している。
社会保険料の会社負担は確かに中小企業の負担にはなっているだろうが、泉氏はそもそも正社員化について中小企業が大企業に比べて劣っていると認識しているのではないか。非正規雇用の是正は、中小企業ではなく大企業の課題だ。
いずれにしても、こうした政策立案を17項目にわたって提案したわけだが、その提案の内容は別として、最も泉氏に欠けているのは、立憲民主党がどのような国家、どのような社会を目指すのかという提示だ。
「単に新自由主義や自己責任に帰すのではなく、共助とともに公助が発揮される政府を目指します。政府の適切な関与によって公正な社会を実現し、国富の適正配分を進めていく」とは言っているが、政党の原点である目指すべき社会の提示がまったくないのだ。
その国家観なり、社会観を具体的に示さないままに「政策立案政党」などと称しているわけだ。政策立案はシンクタンクでもできる。国家観がないままにただの対案を出すだけなら、もはや政党とは呼べない。
(terracePRESS編集部)