新しい資本主義の実現目指す22年度予算案
政府は先ごろ、2022年度予算案を閣議決定した。新型コロナウイルス感染対策や岸田首相が掲げる「成長と分配の好循環」の実現に向けた費用を確保、アジアの緊張が高まる中で、防衛予算は過去最大となった。政府は、すでに成立している2021年度補正予算と併せた「16カ月予算」としてコロナ対策、経済対策を進める方針だ。
22年度予算案について政府は「新型コロナ対策に万全を期しつつ『成長と分配』による『新しい資本主義』の実現を図るための予算」と位置づけ、一般会計総額は107兆5964億円で、21年度当初予算と比べると9876億円の増加とした。
一般会計の総額は10年連続で最大を更新。100兆円を超えるのは4年連続となる。高齢化の進展で社会保障費は歳出の3分の1となる36兆2735億円で過去最大となった。
成長戦略としては、「科学技術立国」の観点から、過去最高の科学技術振興費1兆3788億円を確保。デジタル、グリーン、AI、宇宙、次世代半導体などの研究開発を推進するほか、博士過程学生への支援を充実する。
また、「デジタル田園都市国家構想」の実現に向け、デジタル庁について、情報システム関係予算4720億円の一括計上などを推進。地方向け交付金により自治体の創意によるデジタル技術の実装などを幅広く支援する。
分配戦略としては、新型コロナ医療対応などを行う医療機関の看護職のほか、看護、保育、幼児教育などの現場で働く人の給与を3%引き上げる。
また、非正規労働者のステップアップ、円滑な労働移動を支援するなど、3年間で4000億円規模の施策パッケージに向けて、人への投資を推進する。
このほか、「下請けいじめゼロ」を実現するため、下請けGメンを倍増し、全国の下請け中小企業へのヒアリング、監視態勢を強化する。
公共事業関係費は安定的な確保を前提に6兆575億円を計上。ドローン点検などを活用した老朽化対策や土地利用規制。避難計画などのソフト対策を強化した治水・地震対策など、防災・減災、国土強靱化への重点化を推進する。
農林水産では、農林水産物・食品輸出5兆円目標の実現に向け、輸出産地・事業者の育成、海外の食品規制への対応などを総合的に推進する。コメについては、輸出用米・野菜などの高収益な作物への作付け転換を含め2022年産米の需要に応じた生産を推進する。
防衛関係費は、デジタル庁への計上分を含め過去最大の5兆4005億円で、21年度補正予算と合わせてミサイル防衛や南西地域の島嶼部の防衛のほか、宇宙・サイバー・電磁波などの新領域の能力を強化する。
22年度の国内総生産(GDP)見通しとの比較では、0.957%となり、「1%枠内」に収まった。
(terracePRESS編集部)