本格論戦でも存在感ない泉・立憲民主党
通常国会では与野党の本格論戦の場となる衆院予算委員会が24日始まった。同日の予算委には立憲民主党の泉代表が登場。枝野前代表とは異なり「批判一辺倒」ではなくなったことは確かだが、政策に関しては「政策立案政党」とは決して言えず、その存在感は薄くなる一方だ。
泉代表は質問の冒頭「立憲民主党は自民党とは違う視点、アプローチからのさまざまな政策提言をしたいと思っている」などと、枝野執行部との違いを際立たせた。
その上で泉氏は「立憲民主党の存在意義があった」と強調したのが給付金問題。「18歳以下への子どもたちへの10万円給付。約4万人が給付を受けとれない状況となっている中で、立憲民主党が代表質問でこの問題を取り上げた」などと自賛した。
泉氏は給付金について「子どもへの給付」というが、正式には「子育て世帯への臨時特別給付金」で、子どもに支給されるわけではない。そこを間違えているのか、またはあえて「子どもへの給付」と強調しているのか知らないが、正確には子どもに給付されるものではない。
政府は、速やかな給付を実現するために、児童手当の給付世帯については基準日を設けて申請を必要としないで給付する方式にした。スピード感を持った支給をするためには最良な方法だ。
だが、この方式の場合、離婚世帯の場合、実際に養育している親に支給されない可能性がある。
例えば、父親名義の口座に児童手当が振り込まれていた夫婦が離婚し、母親が実質的な子どもの養育者になった場合、口座を変えない限り、児童手当は父親の口座に振り込まれてしまう。口座を変更するためには、元夫婦が話し合って、父親が申請書に記入し、署名捺印することが必要だが、元夫婦の関係によってはそれが進まないこともあるだろう。
確かに、それを指摘した立憲民主党は正しかったのだが、しかしこれは「政策提言」と言えるようなものではない。手続き上の誤りは、修正すればいいだけの話しだ。泉代表は立憲の功績としてアピールしたいのだろうが、これが「存在意義」だとすれば、立憲民主党の存在は必要ない。
予算委で泉氏は、岸田政権の「新しい資本主義」に対抗した「人にやさしい資本主義」と称した提案をしている。
その中では、例えば「最低賃金を段階的に1500円に」などとしているが、最低賃金の引き上げの必要性はもちろん政府も認識しているが、その一方で中小企業の経営を過度に圧迫するようなことがあってはならないことも事実だ。その中でバランスをとりながら引き上げることが必要で、引き上げだけすればいいという立憲では、雇用を悪化させる可能性がある。
また、「地方への配分」と称して盛り込んでいる「農林水産物の輸出拡大と地産地消」などは、なぜ輸出振興が分配政策なのか理解できないが、政府の政策をなぞっただけだ。岸田政権の「デジタル田園都市国家構想」のように、俯瞰した政策すらまとめられない。細かい〝指摘〟はできるのだろうが、ダイナミックな提言ができないのが立憲の本質なのだ。
(terracePRESS編集部)