冷静な憲法改正論議を阻害する立憲民主党
今年は日本国憲法施行75年の節目となった。憲法改正論議は遅々として進まないが、それは立憲民主党や共産党の〝抵抗〟があるからにほかならない。もっとも立憲民主党などの主張は支離滅裂で、こうした政党が憲法改正論議の足を引っ張るのは〝日本の不幸〟というほかはない。
岸田首相は憲法記念日の3日、自民党総裁として改憲を求める団体の集会にビデオメッセージを寄せ「現行憲法も施行から75年が経過し、時代にそぐわない部分、そして不足している部分については、改正していくべきではないかと考えている」と強調した。
岸田首相の言うように、憲法は時代に合わない部分があるのは事実。そのため、国民に改正する必要性があるとの認識が広まっている。
朝日新聞の世論調査では、「現行憲法を改正する必要があるか」との質問に対して、「変える必要がある」が56%だったのに対し、「変える必要はない」は37%にとどまっている。
75年の月日が流れる中で、日本はもちろん、日本を取り巻く国際環境は激変した。ロシアによるウクライナ侵略は、21世紀になっても前世紀のような侵略戦争が起こることを証明したし、アジアでは経済成長を続ける中国が覇権主義的な行動を強めている。
また、国民生活も75年前とは比べものにならないほど変わり、同時に東日本大震災や新型コロナウイルス感染症のような非常事態が起こりえることも国民は認識した。そうした変化により、半数以上の人が憲法改正の必要性を認識する結果となっているのだろう。
しかし、この朝日の調査では、憲法9条については「変えないほうがよい」が59%、「変えるほうがよい」が33%だった。まだ、9条を改正する認識が乏しいことも事実だ。
その理由の1つが、立憲民主党が支離滅裂な情報を発信していることだろう。例えば、憲法記念日の3日に開かれた憲法改正に反対する集会での、立憲民主党の奥野衆院議員は「ロシアは断じて許すことはできない。そして、そのロシアよりも許せないのが、今の与党だ。このどさくさまぎれに、ウクライナの問題をダシにして、改憲に突き進もうというその姿勢を、私は許すわけにはいかない。まさにどさくさまぎれに改憲を試みよう。国民をだまそうとしている」と発言。
この発言はその後に撤回されたが、ウクライナ国民を虐殺するロシア以上に改憲論議を進める与党を批判するとは、もはや政治家として異常というほかはない。
また、小西参院議員は7日に開かれた集会で「戦後74年間戦争をしなかったのはただ一点、憲法9条のためだけだ」と強調している。
戦後、日本が戦争に巻き込まれなかったのは、強大な経済力を誇っていた米国が世界の警察官としての役割を果たしてアジアの安定に寄与していたからだし、日本周辺で日本に脅威を及ぼす国もなかったためだ。9条だけが理由というのは、あまりにも暴論だ。
小西議員は、自衛隊が海外に派兵され、戦争に参加しなかったのは「9条があったため」と言いたいのだろうが、国の安全保障は、まず他国から国土と国民の生命、財産を守ることだ。
いずれにしても、こうした言説をまきちらすことが、冷静な憲法論議を阻害することになる。立憲民主党は多数の国民が憲法改正論議が進むことを望んでいることを認識すべきだろう。
(terracePRESS編集部)