防弾チョッキ支援も反対する共産党
共産党の田村政策委員長が、ウクライナ支援として政府が決定した防弾チョッキなどの備品の提供についていったんは賛意を示した後、翌日に撤回する一幕があった。個人の意見だったというのが撤回の理由らしいが、共産党はロシアに蹂躙されているウクライナへの支援は必要ないと考えているのだろう。
政府が決めた支援品は防弾チョッキ、ヘルメット、防寒服、天幕、カメラ、衛生資材、非常用糧食、発電機などで、いずれも非殺傷の物資で、ウクライナ政府からの要請があったという。
この政府の決定に、共産党の田村政策委員長は「人道支援としてできることは全てやるべきだ。そのことについて今、私がこの場で反対と表明するようなことは考えていない」と述べたが、翌日になって「党内で相談しないで(発言を)行った。防弾チョッキであっても、防衛装備品の供与は我が党が反対してきた武器輸出にあたる。我が党として賛成できない」と一転、反対する考えを表明した。
田村氏が当初述べた「人道支援としてできることは全てやるべきだ」というのは、ロシアに一方的に侵攻されているウクライナの情勢をみれば、日本国民として真っ当な考えだ。欧州から遠く離れてはいるが、物資提供等で自由や民主主義を基調とする日本としてできることは支援すべきだ。
しかし、どうやら共産党は違うらしい。「防弾チョッキでも武器輸出にあたる」というわけだ。
日本は安倍政権当時の2014年に「防衛装備移転三原則」を策定している。それによると、①当該移転が我が国の締結した条約その他の国際約束に基づく義務に違反する場合 ②当該移転が国連安保理の決議に基づく義務に違反する場合 ③紛争当事国(武力攻撃が発生し、国際の平和及び安全を維持し又は回復するため、国連安保理がとっている措置の対象国)への移転となる場合-は防衛装備の海外移転を認めていない。
この原則と今回の支援との整合性について岸防衛相は「明白な国際法違反であるロシアからの侵略を受けているウクライナとの連帯を示すことは、国際社会の原則や日本の安全保障を守るために重要だ。国際社会はウクライナ支援のために結束し前例のない対応を行っている。わが国は自衛隊法第116条の3や防衛装備移転三原則の範囲内で検討した。防衛装備移転三原則で移転を禁止している紛争当事国には、ウクライナは該当しない」などと説明している。
今回支援するのは、防弾チョッキ、ヘルメット、防寒服、天幕、カメラ、衛生資材、非常用糧食、発電機などで非殺傷の物資であることは明白だ。そしてウクライナは一方的に侵攻されたわけで、国連安保理がとっている措置の対象国ではない。
ロシアによるウクライナ侵攻をめぐっては、永世中立国のスイスが経済制裁に加わったほか、非同盟国で中立政策のフィンランドやスウェーデンがウクライナに武器の供与に踏み切っている。
それだけロシアの行動は国際的に容認できない〝蛮行〟だということだ。
こうした情勢の中で、防弾チョッキなどの供与に反対する共産党は、侵攻されたウクライナより、やはり侵攻しているロシアを支援したいのだろう。
(terracePRESS編集部)