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2022.09.01

子ども政策を先に進めるこども家庭庁

少子化が進む中で、子ども政策などの〝司令塔〟役となる「こども家庭庁」が2023年4月に発足する。内閣官房が先ごろ公表した23年度予算の概算要求は、特別会計も含めた総額4兆7510億円となった。こどもが自立した個人としてひとしく健やかに成長することのできる社会の実現を目指す。

 

子ども政策はこれまで省庁の縦割りの中でこぼれ落ちていた部分があったことは否めない。このため、こども家庭庁は省庁の縦割りを排し、省庁の狭間の中で見過ごされていた子どもに関する福祉行政を含めて、子ども行政の司令塔機能を担う。

 

首相直属の機関として内閣府の外局に設置され、各省庁などに子ども政策の改善を求めることができる「勧告権」を持つ。内閣府の子ども・子育て本部や、厚生労働省の子ども家庭局などが移管され、300人規模の態勢になるとされている。

 

概算要求では、同庁に移管する厚労省や内閣府などの関連部局の今年度当初予算より合計で639億円増加させており、岸田内閣の意欲が感じられる。

 

概算要求では「こどもの意見聴取と政策への反映」「低所得の妊婦に対する初回産科受診料の支援」「認定こども園向け補助金の一元化」「就学前の全てのこどもの育ちを支える指針の策定・普及等」「NPO等と連携したこどもの居場所づくり支援モデル事業の実施」「地域におけるいじめ防止対策の体制構築の推進」など多彩な新規事業が並んでいる。

 

「こどもの意見聴取と政策への反映」は、2023年4月1日に施行される「こども基本法」では、国が子ども施策を策定する際に、こどもらの意見を反映させるための必要な措置を講ずることが規定されており、それを実現するため子どもや若者から意見を聴くための仕組みを設けるという。

 

また「就学前の全てのこどもの育ちを支える指針の策定・普及等」は、幼稚園、保育所、認定こども園、家庭、地域を含めた政府内の取り組みを主導する指針を新たに策定するもの。

 

「NPO等と連携したこどもの居場所づくり支援モデル事業の実施」は、すべての子どもが安全で安心して過ごせる多くの居場所を持ち、幸せな状態で成長できるよう、NPO等の民間団体が創意工夫して行う居場所作りや子どもの可能性を引き出す取り組みへの効果的な支援方法などを検証するためにモデル事業を創設するものだ。

 

日本では1人の女性が一生のうちに産む子どもの数である「合計特殊出生率」が2021年で1.30。6年連続で前年を下回るなど少子化に歯止めがかからない。

もちろん、出生率が向上しないのはこども政策の問題だけでなく、親になる世代の経済状況なども大きな問題となる。

 

しかし、こども家庭庁によって空いている政策の〝穴〟を埋めることによって、子ども政策を先に進めることができる。

 

(terracePRESS編集部)

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