〝アベノマスク〟と揶揄する無知が日本をダメにする
安倍首相が、布製マスクを全世帯に2枚ずつ配布すると表明したことに、メディアや野党、または一部の国民から批判する声が出ている。中には〝アベノマスク〟と揶揄する向きもある。
しかし、こうした批判は、まず景気のテコ入れとしての経済対策と、新型コロナウイルスの感染拡大のための対策の違いも分からないままの非論理的な批判でしかない。
安倍首相がマスクの配布を表明したのは4月1日に開いた第25回新型コロナウイルス感染症対策本部会合だ。首相はここで、3月は通常の需要を上回る月6億枚を超える供給を行い、さらに月7億枚を超える供給を確保する見込みであることを表明。
また、全国の医療機関に対し3月中に1,500万枚のサージカルマスクを配布し、近く追加で1,500万枚も配布。さらに高齢者施設、障害者施設、全国の小学校・中学校向けとして布マスクを確保し、順次必要な枚数を配布することを表明した。
そのうえで「布マスクは使い捨てではなく、洗剤を使って洗うことで再利用可能であることから、急激に拡大しているマスク需要に対応する上で極めて有効であると考えている。そして来月にかけて、更に1億枚を確保するめどが立ったことから、来週決定する緊急経済対策に、この布マスクの買上げを盛り込むこととし、全国で5,000万余りの世帯全てを対象に、日本郵政の全住所配布のシステムを活用し、一住所あたり2枚ずつ配布することとする。(中略)世帯においては必ずしも十分な量ではなく、また、洗濯などの御不便をお掛けするが、店頭でのマスク品薄が続く現状を踏まえ、国民の皆様の不安解消に少しでも資するよう、速やかに取り組んでまいりたいと考えている」と述べている。
世間に誤解があるようだが、「緊急経済対策」といっても、すべてが景気の下支えのための政策ではない。現在、政府に求められているのは、感染拡大の防止と景気対策の両輪だ。
マスクの配布に対しては「そのような金を掛けてマスクを配布するぐらいなら、収入減の補償に回せ」といった声もあるが、これは感染拡大防止策であり、景気対策でも家計支援でもない。感染拡大を何としてでも食い止めたい、というその1点なのだ。
政府がマスクの増産策を行っている中で、まだ流通量が潤沢でないことは事実で、そのため、一人一人が他の人に感染させないように配慮するために配布するものだ。もちろん首相も「世帯において必ずしも十分な量ではない」と述べているが、その中でも少しでも感染防止に役立ててもらいたいということだ。
世間には、高齢者夫婦などマスクを入手できず困っている人もいるのだ。感染拡大防止と経済対策の判別もつかないままに配布を批判しても、そこからは何も生まれないということを知るべきだろう。
(terracePRESS編集部)