物価高追加対策で低所得世帯に5万円給付
岸田政権は先ごろ、物価高対策の追加策を取りまとめた。所得の低い住民税非課税世帯へ1世帯あたり5万円給付や、現行のガソリン価格対策を年末まで延長することが柱。その上で、物価対策や、デジタル化や脱炭素など「新しい資本主義」を推進する施策などを含めた総合経済対策を10月にも策定し、国民生活の安定化や経済活性化を図る構えだ。
岸田首相は9日に開催した「物価・賃金・生活総合対策本部」の会合で「世界的な物価高騰の中で、国民生活や事業活動を守り抜くことは岸田政権の最優先課題の1つ。足元の物価・景気の状況に速やかに対応するため、前回の本部で取りまとめを指示した追加策について、早急に実行に移す」と言明した。
住民税非課税世帯へ給付するのは「電力・ガス・食料品等価格高騰緊急支援給付金」で約1600万世帯が対象で、緊急に支援するためプッシュ型で給付額は一律5万円となる。低所得世帯の電力・ガス・食料等価格高騰相当分は毎月約5千円とみられ、5万円はこの半年分を上回る金額となる。
また、ガソリン価格の上昇を抑える石油元売り会社への補助金は年末まで延長。来年1月以降については、原油価格の動向を踏まえて判断するという。年末までの基準価格は168円を維持する。
ガソリン価格は4月26日に取りまとめた「原油価格・物価高騰等総合緊急対策」において、補助金の支給上限を25円から35円とし、さらなる超過分についても2分の1を支援、基準価格をガソリン全国平均価格168円に引き下げるなど、累次にわたり支援を拡充している。
これにより、支援措置がない場合のガソリンの予測価格は現在も200円を超えているが、実際のガソリン全国平均価格は1月以降170円前後で推移しており、多くの国民が対策の効果を受けている。
また、国内で消費される小麦は約9割が輸入だが、政府が買い付けて製粉業者などに売り渡す小麦の輸入価格を10月以降も現行水準に据え置き、パンや麺類などの価格高騰を抑制する。
さらに、農産品全般の生産コスト1割削減を目指し、化学肥料2割低減の取り組みを行う農業者の肥料コスト上昇分の7割を補填するための支援金を新たに創設し、足元の肥料高騰に伴う生産コスト増を抑制する。
また、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金の拡充で、各自治体では学校給食費の保護者負担軽減に向けた取り組みも進んでいる。7月29日現在で、自治体の83.2%に相当する1491団体が学校給食費の保護者負担軽減を実施、または実施を予定しており、そのうちの77.3%の1153団体が臨時交付金を活用している。政府はさらに自治体に働きかけ、軽減策の取り組みを促す方針だ。
岸田首相は9日の本部会合で「経済は生き物であり、国際商品市況の動向や世界的な金融引締め等が海外経済に与える影響などを注視しつつ、物価・景気の状況に応じて、切れ目なく大胆な対策を講じていく」と述べており、状況に即して対策をしていく方針だ。
(terracePRESS編集部)