景気対策も視野の19年度予算
政府は3月の月例経済報告で、国内の景気判断を「緩やかに回復している」から「このところ輸出や生産の一部に弱さもみられるが、緩やかに回復している」と表記した。
景気の現況について「このところ輸出や生産の一部に弱さもみられる」と下方修正したものの「緩やかに回復している」との判断は据え置いた。
景気の先行き不透明感が漂ったのは、内閣府が月例経済報告に先だって公表した1月の景気動向指数(コンポジット・インデックス=CI)の速報値で、景気の現状を示す一致指数が前月より2.7ポイント低い97.9となり、指数の過去7カ月の推移などが基準に達し、基調判断を昨年12月まで4カ月続いた「足踏み」から「下方への局面変化」へと機械的に切り替えたためだ。
「下方への局面変化」とは、この場合、1月より数カ月前に「景気の山」を迎えていた可能性があることを示したものだ。つまり、すでに後退が始まっていた可能性があるというわけだが、実際の景気判断は「山」を越えたとみられてから少なくとも1年ほど後までのデータも分析したうえで、内閣府が行うことになっている。
さて、今回の「下方への局面変化」について朝日新聞などの一部のメディアが、さも鬼の首を取ったかのうように大々的に報じている。
その理由は、政府が1月末、景気の拡大が「いざなぎ景気」を超えて、戦後最も長い6年2カ月に達した可能性が高いと宣言していたからだ。安倍政権下の好景気はすでに終わったと決めつけるかのような報道も散見されている。
そうしたメディアの報道を受け、国会でも野党の、まるで安倍政権で行われた経済成長がまるでウソと言うかのような主張すらある。
例えば3月8日の参議院では、立憲民主党の江崎参院議員が「政府が戦後最長と自慢する好景気が、政府による経済成長偽装だったと言われても仕方がありません」と指摘。
これに対し安倍首相は「今回の景気回復では、確実に経済の好循環が生まれている。えせ好景気、経済成長偽装といったご指摘は、まったくあたらない」「政権交代後、名目GDP(国内総生産)は1割以上成長し、もはやデフレではない状況を作り出した。これは、ごまかしなどではなく現実だ」と、事実に即した成果を強調し、反論している。
そもそも、景気は永続的に拡大し続けることはあり得ない。ましてや成熟国家ならなおさらだ。また、まっとうな経済対策すらできなかった民主党政権後の経済立て直しを背負わざるを得なかった安倍政権の経済政策、いわゆるアベノミクスは大成功を収めたことは事実だ。
また、今回の景気判断とは別に、安倍政権が2019年度予算で101兆4,571億円の過去最大となる予算を編成したことも忘れてはならない。
特に、幼児教育・保育の無償化や年⾦⽣活者⽀援給付⾦の⽀給など全世代型の社会保障制度への転換を図るため、社会保障関係費が約1兆円増の34兆593億円、公共事業関係費が約9,000憶円増の6兆9,099億円などとなっており、積極型の予算となっているのだ。
景気は消費者のマインドに左右される。景気が下降局面に入ったかどうかは不明だが、一部のメディアや野党のように安倍政権に失点を与えようと景気の悪化を喧伝すればするほど、一般国民にそのつけが回ってくる恐れがあることを忘れてはならない。
(terracePRESS編集部)