着実に進む子どもの貧困対策
子どもの貧困が社会的に問題視される中、政府は昨年「子供の貧困対策に関する大綱」を改定した。メディアなどは大きく伝えないが、こうした着実な施策の展開こそが安倍政権の強みだ。
大綱は「現在から将来にわたり、全ての子供たちが夢や希望を持てる社会を目指す」「子育てや貧困を家庭のみの責任とせず、子供を第一に考えた支援を包括的・早期に実施」の二つを、目的に制定されている。
重点施策は(1)教育の支援(2)生活の安定に資するための支援(3)保護者に対する職業生活の安定と向上に資するための就労の支援(4)経済的支援―の4分野に分かれている。
「教育の支援」では<学力保障、高校中退予防、中退後支援の観点を含む教育支援体制の整備><真に支援が必要な低所得者世帯の子供たちに対する大学等の授業料減免や給付型奨学金を実施>などが主な柱。
また「生活の安定に資するための支援」では、<妊娠・出産期からの切れ目ない支援、困難を抱えた女性への支援><生活困窮家庭の親の自立支援>が、「保護者に対する職業生活の安定と向上に資するための就労の支援」では、<ひとり親への就労支援>、「経済的支援」では、<児童扶養手当制度の着実な実施><養育費の確保の推進>-などが主な柱となっている。
2015年の国民生活基礎調査によると、子どもの貧困率は13.9%、ひとり親世帯の貧困率は50.8%となっている。
食料または衣服が買えない経験は、ひとり親世帯だと食料が買えない経験34.9%、衣服が買えない経験39.7%となっている。
また、進学率をみると、生活保護世帯に属する子供の大学等進学率は36.0%で、ひとり親家庭の子供の進学率では、中学校卒業後95.9%、高等学校等卒業後58.5%となっており、ひとり親家庭だと約4割の子どもが高校卒業後は進学しないという結果となっている。
子どもの貧困は、その理由はさまざまで、両親の離婚のほか、何らかの理由で親が就労できない、災害などが考えられる。そうした理由で、貧困家庭になってしまうことも珍しくない。
しかし、当事者の子どもたちには、貧困に陥った責任はない。子どもたちは1人の人間として尊重されるべき権利だって持っている。
そうした子どもたちに手を差し伸べるため、国や自治体、NPOなどの民間団体、企業などが一体となって対策を講じることが不可欠だが、その旗振り役は国だ。
今回の大綱の改定により、子どもの貧困対策も新たなステージに入ったと考えられる。
(terracePRESS編集部)