緊急事態宣言は安倍首相の歴史的英断
新型コロナウイルス感染症をめぐり、特措法に基づき東京、大阪など7都府県を対象とした緊急事態宣言が発出された。宣言と併せて事業規模108兆円という世界でも最大級の経済対策もまとめられた。
新型コロナウイルスには長期的な対応が必要となるのだろうが、この「宣言」と「対策」は、現時点においては感染爆発を招かない、経済への影響を可能な限り抑制するという2つの課題に答えた安倍首相の歴史的な英断だ。
首相は宣言発出に関し、4月7日に記者会見し、国民に対し丁寧に説明したが、首相が決断した思いは、首相の冒頭発言の末尾に表れているだろう。
首相の発言は、こうだ。
「9年前、私たちはあの東日本大震災を経験した。たくさんの人たちがかけがえのない命を失い、傷つき、愛する人を失った。つらく、困難な日々の中で、私たちに希望をもたらしたもの、それは人と人の絆、日本中から寄せられた助け合いの心だった。今、また私たちは大きな困難に直面している。しかし、私たちはみんなで共に力を合わせれば、再び希望を持って前に進んでいくことができる。ウイルスとの闘いに打ち勝ち、この緊急事態という試練も必ずや乗り越えることができる。そう確信している」
首相の思いは、国民はもちろん、自治体、企業などと共に力を合わせれば、この難局も必ず乗り越えられるというものだ。
その思いで緊急事態宣言は発出され、108兆円に達する経済対策が策定されているのだろう。
そして重要なことは、宣言発出のタイミングが、感染爆発、医療崩壊が発生する前に行われていることだ。感染爆発を招かないために、現行の法的枠組みの中で最大限できることを行うということだ。
首相はその点について会見で「現状では、まだ全国的かつ急速な蔓延には至っていないとしても、医療提供体制がひっ迫している地域が生じていることを踏まえれば、もはや時間の猶予はないとの結論に至った。この状況は、国民生活及び国民経済に甚大な影響を及ぼすおそれがある」と説明している。
首相の指摘のように、全国的に急速な蔓延が発生し、医療が崩壊すれば「国民生活及び国民経済に甚大な影響を及ぼす」ことは間違いない。だからこそ、安倍首相は先を見て、緊急事態宣言を発出した。
それは決して遅くはない。そして、早くもない。遅れれば後手に回るし、もっと早い段階の宣言発出なら、国民の過重な負担が長期化し、経済への影響もさらに大きくなっただろう。首相の宣言は、東京や大阪の状況を見極めながら、まさに適切な時期に行われたのだ。
(terracePRESS編集部)