振り返ればクルーズ船から批判ばかり
新型コロナウイルス感染症は、日本での発生当初から、拡大防止についての政府の対応について野党、メディアなどは批判すればよいという姿勢だけだ。
特措法に基づく緊急事態宣言を出すことになった理由は、一つは東京の感染が拡大していることは周知の事実だろう。4月8日午後9時現在で東京都の陽性者は累計1338人で、入院している人は1251人だ。この1251人でも病床のキャパシティーを超え、今後、医療崩壊を招きかねない状況になったことが非常事態宣言の理由でもある。
実際、東京都は、軽症者は病院ではなくホテルなどで回復を待つ方式に切り替えている。
さて、日本で新型コロナウイルスが発生してから間もなく、クルーズ船プリンセンスダイヤモンド号で感染者が相次いだ。このクルーズ船には3000人を超える乗客、乗員が乗り込んでいたが、最終的には672人の陽性者が出た。
振り返ってみれば、このクルーズ船への政府の対応は批判の嵐だった。「後手に回っている」「船内は混乱している」「乗客を下船させるべき」などなどさまざまな批判が出た。日本人の乗客からも、船室内にとどめている政府を批判する声もあった。
政府は日本船籍でも、日本の企業の所有船でもないクルーズ船を着岸させ、乗客・乗員を個々の船室内にとどめたわけだが、最終的に国内にとどまった人のうち672人の陽性者を出すだけに終わった。
クルーズ船はこれまでの最大のクラスターだったわけだが、672人の陽性者を病院で受け入れ、封じ込めに成功したわけだ。もちろん、11人の死亡者が出たことは残念なことだが、それでも極めてうまく対応できたというのが実態ではないだろうか。
もし、1000人も2000人もの陽性者が出たら、その時点で東京の医療体制は崩壊していたのかもしれない。しかし、そういうことにはならず終わったのだ。
それにもかかわらず、ダイヤモンドプリンセス号の政府の対応を批判ばかりしていた野党もメディアも、単なる〝言いっぱなし〟で終わったわけだ。「あの時の批判は間違えだった」などと一言も言わないのだ。まさに厚顔無恥とはこういうことを言うのだろう。
うわべだけ見て批判することは誰でもできる。しかし、そうした批判の中でもクルーズ船の対応に検疫官、厚労省職員、自衛隊員など従事した人々は黙々と作業をしていたのだ。
(terracePRESS編集部)