あまりに真剣さが感じられない野党
新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため、緊急事態宣言が全国化したが、立憲民主党、国民民主党、日本共産党などの野党の取り組みには真剣さが全く感じられない。
野党はここぞとばかり「我々は10万円の一律給付を以前から求めていた」「政府が転換したのはあまりにも遅すぎる」などと批判しているが、野党が求めていた一律10万円の給付は、感染拡大防止で影響を受けた人々への生活支援や経済の下支えというより、単なる人気取りだったことは明白だ。
いうまでもないが、緊急経済対策にはさまざまな支援策が盛り込まれている。政府は他の支援策も勘案しながら、最終的に決定する。生活困窮者への30万円の生活支援臨時給付金か、一律10万円かは政策の選択だ。
しかし、野党が主張していたのは、他の支援策とは関係なく、やみくもに10万円を求めたものに過ぎない。同じ10万円の一律支給でも、その背景は全く異なるのが実態だ。
立憲民主、国民民主、共産、社会民主などの野党5党派は16日、政府が10万円の給付への転換を決めたことについて幹事長・書記局長らが会談したが、ここで、改めて10万円一律給付やPCR検査のさらなる拡充を含む「野党統一の補正予算の組み替え案」の速やかな策定作業に入るよう各党の政策責任者に指示することを決めている。
政府が補正予算の組み替えに着手したことを睨んで、野党統一の補正予算組み替え案を出すということだろうが、これはあまりにもおざなりの対応だ。
「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策」とそれに伴う補正予算が閣議決定されたのは4月7日だ。この補正予算は、緊急経済対策に盛り込まれた生活困窮者に30万円の給付をする生活支援臨時給付金の財政的裏付けとなるものでもある。
もし、野党が真に国民に一律10万円の給付が不可欠だと考えていたなら、補正予算の閣議決定を受けて、補正予算の組み替え案の策定作業に入れたはずなのだ。
それもしないで、政府が組み替え作業に着手するとは、まさに「後手、後手」ではあるまいか。建設的なことはせずに、ただ政府を批判するのが野党の役割だと思っているのだろうか。
東日本大震災発生時は民主党政権で、自民党は野党だったが、当時の自民党の谷垣総裁は、地震発生当日の3月11日に菅首相に緊急対応を要請し、政府への全面協力を伝えている。その後は、谷垣総裁、石原幹事長が連日首相官邸に出向き、各分野での対応策を菅首相に申し入れもしている。
それだけではない。自民党として復興再生計画や東日本大震災復興再生院の設置などを盛り込んだ「東日本大震災復興再生基本法案」を策定し、国会に提出しているのだ。
こうした大震災時の自民党、つまり当時の野党と比べれば、現在の野党は何もしていないのも同然だ。
さらに驚かされるのが、幹事長・書記局長会談後の記者会見で、共産党の小池書記局長が「政権の危機管理能力、ガバナンスの欠如は目を覆うばかりだ。内閣総辞職に値する事態だ」と述べたことだ。
日本を含め世界が大恐慌以来の困難に直面しているときに「内閣総辞職に値する」と口に出す神経は疑うしかない。
国難に直面している現在、安倍政権と国民が一体となって一刻も早く難局を乗り切り、経済社会の再建に挑戦することが不可欠であるにも関わらず、「総辞職しろ」と言わんばかりの姿勢は、まさに独善的な社会主義政党というほかはない。
こうした野党では、存在しないほうが国民のためになりそうだ。
(terracePRESS編集部)