韓国・尹氏の具体策が関係改善の鍵
先ごろ行われた韓国の大統領選で、最大野党「国民の力」の尹錫悦氏が当選した。尹次期大統領が対日関係の改善に意欲を見せているが、元徴用工、慰安婦問題の解決策を講じるのは韓国側の責務だ。日本は、尹氏が関係改善に意欲をみせていることを過大評価せず、韓国の行動を見守る必要がある。
尹次期大統領は、徴用工や慰安婦などの歴史問題や北東アジアの経済繁栄、安保など日韓の懸案事項を包括的に解決する考えを示している。
11日に行われた岸田首相と尹氏の電話会談では、岸田首相が「健全な日韓関係は、ルールに基づく国際秩序を守り、地域や世界の平和・安定・繁栄を確保する上で不可欠である。1965年の国交正常化以来、築いてきた日韓の友好協力関係を基盤としながら、日韓関係を発展させていく必要がある」などと主張。
尹氏からは「日韓関係を重視しており、関係改善に向けて共に協力していきたい」などの発言があったという。
旧朝鮮半島出身労働者、いわゆる元徴用工の損害賠償請求訴訟は、戦後に日本と韓国の間で締結された日韓請求権協定で規定された両国間の請求権に関する規定を完全に否定するもので、違法なものだ。
同協定では、両国の請求権に関する問題が「完全かつ最終的に解決されたこととなることを確認する」と規定している。
元徴用工訴訟は、この規定に反し日本企業に賠償を請求するものだが、日韓関係改善の前提条件として、まず日本企業の資産に対する保護と保障を韓国政府がしなければならない。
日韓関係を改善するという尹次期大統領がとるべき行動は、まさにこの点につきる。これを解決しないままでは、関係改善は困難だ。
また、慰安婦問題もそうだ。日韓両国は2015年12月に慰安婦問題が「最終的かつ不可逆的に解決されることを確認する」との合意をし、日本政府はそれに基づいて韓国政府が設立した「和解・癒やし財団」に10億円を拠出した。
しかし、文大統領は2019年7月、この合意を一方的に破棄したも同然に、和解・癒し財団を解散させた。
これらの問題を解決するのは日本側ではなく、韓国側だ。ボールは韓国側にあるのであり、日本側から何かアクションを起こす必要はない。
文政権は反日外交を展開した。それによって日韓関係は戦後最悪とまでいわれるようになった。尹次期大統領は、確かに日韓関係の改善に意欲を示しているが、それは諸手を挙げて歓迎すべきことではない。問題は、尹次期大統領がどのような具体策を講じるかだ。
韓国は佐渡金山の世界文化遺産登録にも反対しているが、これを含めてどのような対応をするか、注視すべきだ。
(terracePRESS編集部)