消費税減税論者は進む少子化をどう考える

新型コロナウイルス感染症対策の一環として、野党などから税率を0%とすることを含めた消費税減税を求める声があった。国民に一律10万円を支給する「特別定額給付金」の実施が決まったためか、最近は消費税減税の声は一時に比べ沈静化したが、それでも減税を行わなかった政府の対策を疑問視する声も依然としてあるだろう。

 

ところで、総務省が先ごろ公表した2020年4月1日現在におけるこどもの数(15歳未満人口)は、前年に比べ20万人少ない1512万人で過去最少となった。1982年から39年連続の減少だ。男女別では、男子が774万人、女子が738万人という。

 

総人口に占めるこどもの割合は、1950年には3分の1を超えていたが、65年には総人口の約4分の1となった。71年~74年の第2次ベビーブームでわずかに上昇したものの75年から再び低下に転じ、97年には15.7%だった65歳以上の人口の割合をも下回る15.3%となり、2020年に12.0%と過去最低となり、少子化が着実に進行していることを裏付けている。

 

昨年10月1日、消費税率が8%から10%に引き上げられたが、この増税による税収の一部を活用してスタートしたのが幼児教育・保育の無償化だ。少子化対策の一環として、子育てをしやすい社会を作るためだ。

それだけではない。低所得の高齢者を対象に最大月5千円、年6万円を支給する「年金生活者支援給付金制度」もスタートしている。

 

また、消費税全体の使途をみれば、消費税は国分と地方分に分けられ、国の分は年金、医療、介護、子ども・子育て支援の社会保障4経費に充当されるし、国が徴収した一定割合は地方交付税交付金として地方自治体に配分されている。また、消費税には、そのまま地方自治体の財源となる地方消費税分も含まれている。

 

消費税1%あたり2.8兆円の計算で、もし5%下げると年間で14兆円の税収が減ることになる。つまり、新型コロナ対策として消費税の減税を実現するには、こうした使途の新たな財源を手当てするか、それとも幼保無償化などの事業を取りやめるかの選択が必要になるのだ。

 

自民党の甘利税調会長は4月22日、消費税減税についてツイッターで「(減税したら)それらは全て子供達の世代の負担となる。未来の世代に対する責任も踏まえて決断していくのが政治」と述べている。

現在の世代のために消費税減税をして将来にツケを回すのか、それとも幼保無償化などの社会保障の充実化を当面断念するのか、そのようなことすら考慮しないで消費税減税を求めるのは無責任としかいうほかはない。

(terracePRESS編集部)