憲法改正議論も拒否する野党
「議論をする」。これが国会に課せられた最低の義務だ。議論もせずに問題を放置することは国民に対する責任の放棄と言える。今の憲法改正論議はまさにそうだ。野党の責任放棄によってほとんど議論も行われない。
新型コロナウイルス感染症の抑制が国民的課題となる中で、左派政党やその支持者には、憲法改正論議について〝不要不急〟などと批判する声もあるが、今の子供が大人になる20年後、30年後、さらにその先の世代に向けて新しい国を作るのは、今の世代に課せられた重大な責務だ。
現在、憲法改正をめぐっては、2018年6月に自民、公明両党などが国会に共同提出した国民投票法改正案が、野党の反対で採決もされない状況となっている。今国会まで計6国会にわたって継続審議となっているが、今国会も同様な状況となりそうなのだ。
継続審議になる理由は、改正案は、①投票人名簿などの縦覧制度の廃止及び閲覧制度の創設 ②共通投票所制度の創設 ③期日前投票関係 ④洋上投票の対象の拡大-など有権者の利便を図るための措置が盛り込まれているが、この採決に野党が応じないからだ。
現在、改正案は衆院憲法審査会に付託されているが、野党が採決に応じないため、本来の憲法改正議論になかなか踏み込めないわけだ。
今国会でも、5月28日の衆院憲法審査会で自民党が早期採決を改めて訴えたが、野党側は採決後に与党が憲法審で改憲論議の進展を図ることを警戒し、国民投票法での政党CM規制強化を含めた改正を主張し、与野党は折り合えなかった。
現在、日本の内外環境は急速に変化している。中国の海洋進出強化で東アジアの安全保障環境は厳しくなっているし、新型コロナウイルス感染症では、日本でも緊急事態が起こり得ることを裏付けた。
憲法は、1947年5月3日の施行以来一度も改正されていないが、こうした変化こそ、憲法を時代に合わせる必要性があることを示しているのだ。
改正の必要性は国民も感じており、憲法改正が争点となった2019年7月の参院選では与党が勝利し、安倍首相も「少なくとも議論すべきだという国民の審判は下った」と指摘した。
しかし、現実には野党はそうした民意を正面から受け止めるようなことはせず、国会での憲法改正論議はほとんど進んでいない。議論さえしない政党は、もはや政党とも呼べないだろう。
(terracePRESS編集部)